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075 大掃除



綺麗好きな院長先生の遺伝をばっちり私は引き継いだ。

料理も裁縫もへたっぴな私だけど、掃除だけは得意だ。

こればっかりはアンジェリカに負けない。

年に一度の孤児院の大掃除では私がリーダーとなって、皆を指導した位に。




作業スペースに埃が舞わないよう、ミシンや棚にシートをかける。

まずはそれ以外のテーブルや椅子、本などを全て店の外に出した。

埃を取る為と、床を綺麗にする為だ。

台所にはお皿が何枚も洗われずに置いたまま。

使う食器がなくなったら纏めて洗うとウェーブさんは言ってた。

当然、台所も掃除対象に入った。


「あああああ!もう信じられない!蜘蛛の巣まで張ってるぅう!!何でこんな所に、包丁が放置されてるの?!危ない!!」

「・・・お姉ちゃん、張り切ってるねー」

「ああ、凄いな・・・」


埃を吸い込まないようマスクをし、埃や蜘蛛の巣と格闘する私。

手伝ってくれるマイムやレイニーちゃんはせっせと家具を外に出してくれている。


「ウェーブさん!これらはここに仕舞っても問題ないですか!?あとこれもこれも!!」

「う・・うん・・・・。別に良いよ・・・」


ウェーブさんもマスクをして私の指示に従って、ハタキをぱたぱた動かす。


何で本棚からさっきマイム達が言っていたティーポットやカップが出てくるんだろう!!

しかも埃がつもってるし!!!


ウェーブさんは別にそれらを意図して置いた訳でなく、使ったらそこらへんに考えもせず置いていたとの事。

なのでこれらの物は別の所に移動させて片づけても何ら問題はないよう。


むしろ作業スペースに手を出されないかそっちのほうを心配してる。

やっぱりウェーブさんにとって、そこは聖域なんだろう。

心配しなくても、そこに手を出しませんよ。


さて、あらかた埃がとれたら、次はモップで床掃除だ。



「ほらムゼンさん!ちゃんと尻尾を動かしてください!」

『むう・・・我がこんな事をする羽目になろうとは・・・』


ムゼンは、リタ達と同じマスクをつけて尻尾でハタキを握り、外に出した家具の埃を払っていた。

1000年以上生きているけれど、こんな風に顎で使われるのは初めてであった。


「今のリタには逆らわない方がよろしいかと・・・」

『うむ・・・。今のリタはこれまで感じた事がないくらい迫力がある・・・』

「でも、ウェーブさんのお店を掃除するのは良い事だよ!」


レイニーは楽し気に薄汚れている家具を雑巾で拭いていた。

さらに大人達が宴の準備に駆り出され、何もする事がない子供達が何だ何だ?と集まってきていた。

そして事情を聞いて、村の恩人が掃除しているのなら自分達も手伝う!と人手が一気に増えた。

やる事がなくて暇を持て余していた子供達は、ようやくやる事ができた!と大張り切りだ。


かくして仕立屋『ナル』では、リタの適切な指導の下、大掃除が繰り広げられた。


溜まりに溜まった洗濯物やシーツを、リタのクリーンシャボンの泡を使って子供達とタライで洗った。

台所では食器を割らないよう、マイムとレイニーが監視しながら子供達と洗った。

ついでだからと、店の看板を下ろして壁も水をかけて綺麗にした。

看板は古くなっていたけど、ムゼンが修復魔法で綺麗にした(さらっと凄い魔法を使った事にリタ達は唖然とした)。



こうして仕立屋『ナル』は見た目も中も、見違えるほど綺麗になった。




クリーンシャボンは洗濯しなくても衣服を綺麗にできますが、リタはあえて水で洗濯して日の下に干して乾かすという方を選びました

掃除好きのリタにとって、洗濯作業は楽しい時間で、日の匂いがする洗濯物が一番だと思ってるからです


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