071 ムゼンさんの凄さ
わしゃわしゃわしゃ・・・・。
ふわふわとシャボン玉が浮かぶ。
サボンシャボンは石鹸の香りがする。
それもまるで高級品並の良い香りだ。
・・・高級な石鹸は使った事がないから、あくまで私の想像に過ぎないけど。
でもやっぱり、村長さんのお家のお風呂は広くでゆったりできる。
『うむうむっ気持ちいいぞリタっ』
サボンシャボンでムゼンさんを洗ってあげる。
凄くご機嫌だ。
水を使わなくてもサボンシャボンは服を着たままで綺麗になるけど、やっぱり湯船に浸かると気分が違う。
もこもこと泡だらけのムゼンさんは、私と同様お風呂も大好きなよう。
何でも自慢の毛並みがより美しくなるから、という理由で住んでいた山の中ではしょっちゅう天然の温泉に入っていたんだって。
天然の温泉・・・格別だろうな。
「お姉ちゃんっ次、私の髪も洗って!」
レイニーちゃんも今日は一緒だ。
固形石鹸を使わずに、髪や体を洗えるサボンシャボンに目が釘付けだ。
「お姉ちゃんのスキルって本当に便利だねっ。私もお姉ちゃんみたいなスキルが欲しいなぁ」
「ありがとレイニーちゃん。レイニーちゃんはどんなスキルを授かるか今から楽しみだね」
「うん!」
レイニーちゃんは10歳だから、スキルを授かるのはまだ5年も先。
私もスキルを授かる年になるまで、わくわくしてたっけ。
だからレイニーちゃんの気持ちは物凄く分かる。
「ねぇねぇムゼン様っムゼン様はせいじゅー?で凄いお方ってパパもお兄ちゃんも言ってたけど、どんな事ができるんですか?」
レイニーちゃんはたどたどしい敬語で、お風呂でぷかぷか浮かぶムゼンさんに質問した。
レイニーちゃんにはまだ聖獣の凄さがよく分からないみたい。
まあ私もだけど。
正直、食いしん坊で甘いもの好きで、ゆったりとお風呂を満喫してるムゼンさんの姿には凄さは感じない。
大きくなった姿は確かに神々しいけど。
『良い質問だな。まずお前達はたった一つのスキルしか使えないが、我ら聖獣はいくつもの力が使える。火、水、風、土、雷などの自然魔法はたやすいものだ』
「他には他には?!」
『そうだな・・。結界、重力操作、鑑定・・そうそう、ステータス操作で相手の魔力や体力を低下させることもできるぞ』
「わああっ!すっごおおい!!」
出た!レイニーちゃんのキラキラお目目!
レイニーちゃんの尊敬のまなざしに、ムゼンさんはまんざらじゃない顔をする。
まあ私もムゼンさんのとんでもない能力の数々には驚いた。
もう最強だよ、無敵だよ。
聖獣って無数のスキル持ちなんだ。
何かずるい・・・。
お風呂から上がって、ドライヤーで髪を乾かそうとした。
でもそれをムゼンさんが止めた。
『そんな物使わなくても我が乾かしてやる』
ふわぁっ!
暖かい風が私やレイニーちゃん、ムゼンさんを包み込む。
ムゼンさんの風魔法らしい。
あっと言う間に、私やレイニーちゃんの髪は乾いて、ムゼンさんはつやつやふわふわな毛並みとなった。
「・・・・風魔法って便利だ・・・」
「わーい、ふわふわー!」
レイニーちゃんはムゼンさんの体を撫でる。
ムゼンさんは素直で無垢なレイニーちゃんを気に入ったのか、そのまま体を撫でさせてあげた。
明日は村長さんが決定した、私とムゼンさんの移住記念の盛大な宴が開かれる。
また宴と聞いて大げさだと思ったけど。その気持ちが凄く嬉しかった。
それにマイムが腕によりを振るってご馳走を作ってくれると言うので、今から楽しみだったり。
どんなご馳走が出てくるんだろう?
あ・・夕飯食べたのにお腹鳴りそうになった。
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