068 聖獣と従魔契約 1
「もう村に戻るのかマイム?」
「今度来たときはもっとゆっくりしていけよな」
トーラスト王国を出国する時、門の兵士さん達が気さくにマイムに声をかけて見送ってくれた。
空はまだ青いけど、徐々に色が変わり始めてる。
もうそろそろ夕暮れだ。
がらがらがら、と馬車を暫く走らせる。
人気のない所まで。
「・・・・・・ムゼンさん・・・」
『何だ?』
「本当に、その・・・契約っていうのをするんですか?」
『無論、我は本気だ』
「ええ・・・・・」
ムゼンさんが突如の爆弾を落としてくれた。
暴れ回るモンスターを見事にねじ伏せ、従魔にしたという冒険者の話は聞いた事はあるけど・・。
「・・・聖獣が従魔になるって話、聞いた事ないよ・・」
『大昔にはいたようだぞ』
「大昔・・・」
1000年生きてるムゼンさん。
そのムゼンさんが言う大昔って、途方もない年数だろう。
「聖獣は人に従わず、自由に生きる存在だと俺は聞かされていました。恐れながら、ムゼン様も誰かに従う存在ではないと思うのですが・・」
『我も誰かの元で働く気はさらさらない。だが、我はリタに大いなる興味を抱いたのだ。お前は面白い人間だ。お前の行く先がこれからどうなるのか、お前はどう生きていくのか、それを見届けたくなった。それができるのなら、従魔になっても良いと思ってな』
呪いをといてもらった恩もあるし、とムゼンさんは笑う。
つまり、私がどう転がっていくのか観察できるのなら、従魔になっても良いって事?
とんでもない理由だ・・・
聖獣って皆、こんな思考なのかな?
『我がいれば、この先どんな危険に見舞われても平気だぞ。従魔として守ってやろう。それとも我では不服か?我と契約を結ぶのは嫌か?ん?』
「いや・・別に嫌という訳じゃ・・・」
良いという訳でもないんだけどね!
『なら問題なしだ』
ふふん、と鼻を誇らしげに鳴らすムゼンさん。
脅された気しかしない・・。
そんな私に、マイムが同情のこもった苦笑いを返してくれた。
だけど、契約って一体どうやるんだろう?
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