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064 『緑の呼吸屋』



最初はびっくりしたけど、中に入ると意外と居心地の良いお店・・。

綺麗な空気が流れてる感じがする。

店内の光は、彼方此方に咲いている花が光っていて明るかった。

何ていう花かな?

床も草が生えていて、緑の絨毯みたい。


「何かお探しで?」

「へ・・・・?・・・・・・・・・!!!!!!!!!???」


ぽん、と肩を叩かれ後ろを向く。



カボチャが・・・カボチャが喋った!!!???


「まままままマイム!!!」


私はマイムの後ろに隠れた。

シルクハットを被ったカボチャの目と鼻と口は穴が開いてて、目と口はケタケタ笑っているかのように吊り上がってる。

も、モンスター?!


「カラバッサ。初対面時の相手に声をかける時は注意しろと言っただろう」

「いやぁ、これは面目ない。驚かして申し訳ないお嬢さん」

「え、ど、どういう事?」


シルクハットを被ったカボチャ頭のこの人は、何をかくそう『緑の呼吸屋』の店主さんだった。

昔、大好物のカボチャをもっと美味しくさせて世に広めたいという夢から、魔法による品種改良に挑んで、失敗してこんな身体になっちゃったとか・・・。


「でも僕は幸せだよ・・。大好きなカボチャとまさに一心同体な姿になれたんだからね・・!!」

「は、はぁ・・・」


見た目同様、かなり変わった人みたいだ・・。


『面白い人間だな。だが悪い匂いはしない』


まあ確かに悪い人ではなさそう・・。


「それで、今日は何用で?あ、カボチャの種ならいーっぱいあるよ!」

「そうだな・・。じゃあカボチャの種を少し貰おうか。あと他の種類の野菜の種も貰いたい」

「はいはい」


カラバッサさんがツタをかき分けると、薬棚が現れた。

引き出しを開けて、小袋に分けられた種をテーブルに出していく。

ちなみにテーブルにもツタが絡んでて、葉っぱがテーブルの飾りみたいになって、逆にお洒落な感じになってる。


「お嬢さん、そういえばお名前は?」

「リタ・アンジェーロです」

「ほほうっそれではあのアッシャーさんと同じ院のっ。いやあ彼には一度でいいから僕の作ったカボチャを食してもらいたいもんです!」

「そ、そうですか」

「リタさん、先ほどは驚かして申し訳ない。お詫びにこれを」

「わっ可愛い!」


カラバッサさんがくれたのは、花のヘアピンだった。

それを私の髪につけてくれた。


「ありがとうございます!」

「いえいえ。どうか貴方に幸運が訪れますように・・・」

「?」

「何でもないよ」


カラバッサさん何て言ったんだろう?

よく聞こえなったけど・・ま、いいか。




マイム達が店を出た後、カラバッサは店の奥に行く。

書庫室に入り、机の上に置かれた写真立てを取った。


「・・・・・・・・・まさか、こんな所で会うとはね・・・運命とは分からないもんだ・・」


写真立ての中の写真を見つめながら、カラバッサの空洞のような目から涙は一粒流れた。


閲覧ありがとうございます!

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