057 思わぬ再会 その2
「ぶつかって、人の酒を台無しにしといて、すいませんだけで済むと思ってんのかこのじじいっ」
「すみませんすみません・・っどうか許してください!」
「お願いします・・どうかご勘弁を・・」
「俺らは冒険者だぜ?いわばモンスターからてめーらを守ってやってる立場なんだぞ?」
「それなのにこの仕打ちはねーだろ?なぁ?」
男達の足元には濡れた地面と割れた酒瓶があった。
話からして、老夫婦があの3人とぶつかって、男の持っていた酒が地面に落ちたんだろう。
でも冒険者と言いながら、やってる事は不良だ。
周りの人達はそ知らぬふりをしてる。
『長年生きているが、ああいう輩は増える一方だな全く・・。どうしたリタ?』
「・・・・あの老夫婦・・、以前話した事あるけど・・私を置いて逃げた二人なの・・」
『・・・盗賊団の話に出てきた奴らか・・こんな所で再会するとはな・・』
「うん・・私も思ってもなかった」
『なら無視してやれ。お前もひどい目に合ったんだ。助けてやる義理はない』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
かち、と金属音がした。
隣のマイムが、腰に下げていた剣の柄に触れた音だった。
「マイムっ?」
「・・・・・あいつらだ・・・」
「え・・」
「あいつらが・・・俺達の泉に・・毒を・・!」
「!」
クリスタルさんに振られた腹いせに『レクイエムの泉』に毒を入れた不届きな冒険者達。
あの3人だったんだ・・!
どうりでガラが悪いと思ったっ。
「・・・・・許せん・・!」
「ま、マイム落ち着いて!街中だよ!!」
マイムは剣を抜いて今にも3人に切りつけそうな雰囲気だった。
「あいつらの所為で今まで俺達は・・・!子供達は病にかかって・・・!」
駄目だ、頭に血がのぼってるっ。
きゃああ!
向こう側からも悲鳴が聞こえた。
見ると、男の一人がおじさんの胸ぐらを掴んでた。
おじさんの足は浮いて、息ができなく苦しそうな顔をしていた。
「お、おやめください!お酒は弁償しますから!」
「弁償するだけじゃ割にあわねぇなぁ。お前ら商人だろ?その荷物の中、良いの入ってそうじゃねーか」
「それ全部よこせよ」
おばさんの持っていた荷物を取り上げる男達。
「そ、それは大事な商品が・・!」
「うるせぇ!慰謝料代わりだ!」
すがるおばさんを突き飛ばし、胸ぐらを掴まれていたおじさんも地面に投げ飛ばされる。
これが、冒険者のする事とは、思えない・・!
「・・・・・・・・っ止めろ!」
その光景を見て、マイムが飛び出していった。
颯爽の3人の前にマイムが老夫婦をかばうように出る。
「あ、何だお前?」
「この顔を忘れたか・・・!?」
マイムが男達を睨む。
それに面白くなさそうに眉を寄せた彼らだったけど、思い出したのかくっと笑い始めた。
「・・・・・あ、あの村にいたスライム族じゃねーか?」
「こんなとこでなーにしてんだよ?大事な大事な泉をほったらかしてよぉ?」
「大変だよなぁ~?大事な泉がとんでもねー事になってよぉ?」
げらげらと笑う3人。
「ま、俺達にはかんけーねーけどなぁ」
「そうそう、あーんな泉がどうこうなったって、俺達には何の支障もねーもん」
「むしろあんな泉を大事に守ってるなんて、気が知れねーよ」
あの泉がどれだけ大切なものか、全く分かっていない3人にマイムの額に青筋が立った。
「・・・・・・・・・・・・斬る・・・!」
マイムが剣を抜こうとした。
3人を殺す気だ!
「──駄目!!!」
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