055 スズメのお宿へようこそ
マイムが案内してくれた宿は少し古いけれど、どことなくお洒落で感じの良い宿だった。
電気は使わず光源は魔法ランプの明かりだけというスタイルで、中もとても落ち着いた感じだ。
嫌いじゃない、むしろ凄く好き!
「いらっしゃいませ!マイム様、いつも当宿をご利用いただきありがとうございます!ちゅんちゅん!」
とても明るいスズメの鳥人族が経営してる宿だった。
なるほど、名前の通り『スズメのお宿』だ。
「この子も一緒なんですけど・・」
私は肩の上にいるムゼンさんを見せる。
スズメの受付嬢さんはムゼンさんの大きさを見て、本来は従魔舎という別の場所で寝てもらう決まりだけど、ムゼンさんの大きさから部屋に入れてもOKという許可が出た。
「シーツなど汚さないようお気を付けくださいね!ちゅんちゅん!」
『失礼な。我は汚れておらんぞ!』
「まあまあ・・(小声)。はい、分かりました」
「部屋は個室、二人分で頼む」
マイムがさっさと二人の分の部屋を手配してお金を払ってくれた(朝食付きの一人銀貨4枚で確かに他の宿と比べると安かった)。
「マイム、またお金払ってもらっちゃって悪いよ・・」
「リタは本当に気にしなくていいんだ。これらの資金はお前から貰った例の報酬金から出してるんだ。だからリタは何にも気にする事はない」
あ、あの時の大金から・・。
んーでもやっぱり気が引けるな・・。
マイムの様子からして、返そうとしても受け止めてくれなさそうだ。
・・・・・・こっそりマイムの懐に入れる?
すぐバレるな。
「リタ、これがお前の部屋の鍵だ」
「ありがとう(でも絶対、入国税の分と合わせて返したい!絶対返す!)」
お金の貸し借りはきっちりしたい。
それは私、リタ・アンジェーロである。
鍵を受け取りながら、私は硬く決意した。
「おお、けっこう綺麗な部屋」
一人部屋だから狭いけど、ベッドもちゃんとある。
ちゃんと掃除が行き届いてて、シーツも洗濯したてで清潔みたい。
窓辺には小さな花も飾られてて、サービス心があるなぁ。
従業員も皆、親切だし。
「こういう場所で働きたいなぁ」
『リタは金を稼げるところを探してると言っていたな。ここで働くのか?』
ムゼンさんは私と一緒。
すでにベッドの上で丸くなってる。
「まだ決めてないよ。ただ雰囲気からしてこういう所がいいかなぁって思って」
『いっそ冒険者を目指したらどうだ?リタの力ならモンスターが相手でも通用すると思うが』
「とんでもない!私にそんな度胸ありません!」
何を言いだしてくれるんだろうこの聖獣さんは!
モンスターと戦うなんて・・考えただけでも無理でっす!!!
こんこん。
「リタ、飯を食いに行かないか?」
ナイスタイミングだよマイム!
「さあさ、ご飯食べに行きましょうムゼンさん!」
私は話を誤魔化す為に、ムゼンさんを抱っこしてマイムの所に行った。
冒険者なんて、私には不向きです!
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