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052 冒険者ギルドのギルドマスター



本当に色んなお店が沢山あるなぁ。

これなら良い働き口が見つかりそう。

でもそれはやる事をやってからだ。


「私、ギルドって入る事自体初めてなんだ」

「そうか。俺はこの国のギルドには何度も出入りしているからギルドマスターとは顔なじみなんだ。特に冒険者ギルドマスターは父さんと若い頃からの知り合いだ。感じの良い人だから、緊張する事はない」


へーそうだったんだ。

村長(むらおさ)さんっていくつなんだろ?

亜人は長生きするって聞いた事あるけど、もしかしてとんでもない年齢だったりして。

そんな事を思ってるうちに、冒険者ギルドへたどり着いた。



中に入ると、それはそれはにぎやかだった。

お酒を飲む場所も隣接してあって、昼間から酔い潰れてる人も多かった。


「マイムだ。ギルドマスターを呼んでほしい」

「マイム様、いらっしゃい。ただいまお呼びしますね」


受付の人(犬の獣人だった)が慣れた様子で奥へ引っ込む。

何となしに私は掲示板に張られた依頼書を見た。

モンスター討伐依頼も多いけど、薬草採取などの依頼もあった。


「ドラゴンの牙が欲しいって依頼もある・・」

『面白いものを欲しがるのだな』

「ドラゴンの牙は最高の剣になると聞いた事がある。ドラゴンが相手だからミスリルランク用だな」


あ、本当だ。

最高ランクのミスリル紋のハンコが押してある。

日付は・・・1年も前だ。

でもミスリルランクって、一握りしかいないらしいから仕方ないかも。


「マイム様、お待たせいたしました。奥の部屋でギルドマスターがお待ちです」

「ああ分かった。リタ、行こう」


ギルドマスター、どんな人なんだろう?





「おう、マイム!お前が女連れとは珍しいな!!!」


がっはっがっ!と豪快に笑うのは、中年だけれどたくましい体をしたおじさん。

この人が冒険者ギルドのギルドマスターさんみたいだ。


「どこで捕まえてきたんだ?まさか攫ってきたんじゃあるまいな?」

「人聞きの悪い事を言わないでくれコンスタント!」


コンスタントさんか。

若い頃冒険者やってたのかな?

体の彼方此方に古い傷跡がある・・。


「んでお嬢ちゃん、スライム族じゃない様だが名前は?」

「あ、私はリタ・アンジェーロといいます」

「リタ・アンジェーロ?アンジェーロって、あのアッシャー・アンジェーロと同じ孤児院の人間か?」

「はい。私はアンジェーロ孤児院で育ちました」

「ほー、そっかそっか。見たところ15は過ぎてるようだが、スキル持ちか?」

「今年、『授かりの儀』で授かりました」

「んじゃどんなスキルだ?アッシャーのようにすげえスキルか?」

「えっと、それは・・・」


もし言ったら、この人ならギルド中に響きそうな大声で笑いそう・・。

それに・・・・。


「それよりも、早く品を見て査定してくれ」


ずい、とマイムが割り込んで武器の入った袋をコンスタントさんに押し付けた。

もしかして助けてくれたのかな・・?


「何だよせっかちだなぁ・・。お、クリスタル手製の武器か。ちょうど剣の在庫が欲しいとこだったんだ。助かるぜ」


コンスタントさんはあっさり興味が変わった。


『悪い匂いはしないが、単純な人間だな』


失礼だよムゼンさん。

・・・私もちょっと思ったけど・・・。



「そういやお前、村の方はどうなんだ?」


コンスタントさんは村の事情を知ってる。

村がお金に困ってる事を聞いて、買い取り価格を少し上乗せしてくれたり、色々と手助けしてくれてたとか。

顔に似合わず義理人情が熱い人なんだ。


「泉の方はもう大丈夫だ。元の美しい泉に戻った」

「まじか!!そりゃあ良かったな!!でもどうやってだ?」

「それは・・・・・・」


マイムは言いにくそうに口をつぐんだ。

実は出発前に、マイムや村長(むらおさ)さんと私のスキルについて話した事がある。


「リタ殿のスキルは素晴らしい力だ。だがあまりその力のすごさを公にしない方がいいだろう。回復や浄化の力はまさに上級魔法並・・。それを知ってどんな奴がリタ殿に近づいてくるか知れたもんじゃない」

「下衆な奴は貴重なスキル持ちを金の成る木と勘違いして、とんでもない事をしでかす。俺はそういう話をいくつも知ってる」


それを聞いて、私はぞっとした。

変な事に巻き込まれたくない!

私はべらべらとスキルの事を喋らないようにしようと誓った。


だからさっきもコンスタントさんに、スキルの事を言いにくかったんだよね・・。


「・・・・・複雑な事情がありそうだな。ならいーや。人にはそれぞれ事情があるもんな。どちらにせよ、お前の村は助かったんだろ?なら万々歳だな!」


コンスタントさんはマイムの様子にそれ以上聞こうとせず、がははと笑いながらマイムの背中を叩いた。

それに痛そうにしながらもホッとするマイム。

私も同じようにホッとした。


『単純な人間だが、中々器の大きそうな奴だな。嫌いではない』


うん、私も嫌いじゃないな。


にしても今後もスキルについて聞かれそうだから、自分のスキルについての説明、ちょっと考えておいた方がいいかもしれない。

回復や浄化の力は伏せといて、掃除に役立つクリーンシャボンしか使えません!とかどうだろう?

これなら清掃関係で働き口見つけて、面接で聞かれてもどうにかなるだろう。


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