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051 トーラスト王国へ到着!



キュウビのムゼンさんが仲間になって、数日。

ムゼンさんは私の膝の上でのんびりしている。

何だか猫のチロを思い出したので、首元をくすぐったりマッサージしてあげるとムゼンさんは大層喜んでくれた。


『うむ、中々の手付き。特別に尻尾に触れる事も許そう』


ふわふわの尻尾はとても触り心地がいい。

こうして見ると、とても聖獣とは思えないなー。

マイムは始終、ムゼンさんに頭が上がらない状態だけど・・。





「見えてきたぞ!あれがトーラスト王国だ」


マイムが指差した先、確かに国の姿があった。

ようやくついたー!


「ムゼン様、これから王国に入りますが入国審査があります。どうかキュウビだとバレないよう気を付けてください」

『分かっておる。無邪気な子ギツネを演じれば良いのだろう?たやすい事だ。獲物を油断させるためによく演じていたからな』

「気を付けてね、本当に・・」

『任せておけ』


何気に入国審査なんて初めてなので、私もちょっと緊張・・。

他にも王国に入ろうとしている旅人や荷車があったので、小さな列ができていた。

私達の馬車は列を乱さないよう、最後尾に並んだ。


『人の住む地へ来るのは久しいな。何年、いや何十年ぶりだろうか』

「わっムゼンさん、しぃ!」


ムゼンさんが喋れるって気づいたら大騒ぎになっちゃうよ!


『案ずるな。我はお前達にテレパシーで話しかけている。気づかなかったか?』

「え、テレパシー?」

『そうだ。我の声はお前達にしか聞こえておらん。現に周りの者達は誰も騒いでおらんだろう?』


確かに言われてみると・・。

だーれもこっちを見てないや。

あーびっくりした・・・。


「テレパシーなんて凄い事できるんだね」

『我は1000年生きた聖獣だからな』


私はなるべく小さな声で話した。

ムゼンさんはふふん、と得意げな顔だ。


「二人とも、そろそろ俺達の番だ」


いよいよ入国審査だ。





「よぉ、マイムじゃないか!今日も何か売りに来たのか?」

「ああ、今日は多くの荷物を荷台に乗せている。チェックを頼む」

「了解っ」


顔なじみなのか、気さくな兵士さん達だ。

マイムからどんな荷物があるのか書かれた紙を受け取ると、荷台の中をチェックし始める。


「女連れとは珍しいな。ようやくいい相手ができたのか?ん?」

「違う!彼女に失礼じゃないか!!彼女は、その色々あって知り合った友人だ」

「友人ね~(にやにや)」


・・・・何か変な誤解ができてるようだ。

それを私も否定してあげようとしたら、別の兵士さんに声をかけられた。


「お嬢さん、それは君のペットかい?それとも従魔?」

「え・・あ、この子、ですか?」


従魔とは主従契約を交わしたモンスターや獣の事だ。

契約といってもほとんどの場合、意思疎通ができないモンスターを従魔にする場合は、抵抗できなくなるほど攻撃して、ほぼ無抵抗になった状態で無理矢理『契約の式』を交わして従魔にしている。


“『契約の式』=従魔契約を交わすときの儀式”


どうしよう、ムゼンさんの事、何て言えば良いんだろう?

馬鹿正直に言う訳にもいかないし。

ペット、って言ったら失礼だし・・。


「わ・・私のお友達、です」


こう答える以外、思いつかなかった・・・。



「・・・・ま、とりあえずペット扱いにしておくか」


まあそうなりますよね!

ムゼンさん、ペット扱いされて怒ってないかな・・・?


『この状況なら仕方なかろう。我はそのような事で怒ったりはせぬ』


結構心の広い聖獣のようです。



「うしっ入国を許可する。んじゃ入国税支払ってくれ。ペットはサイズが小さいからなしだ」


羊くらいの大きさからだと、生き物にも入国税がかかるらしい。

お金は一人銀貨3枚。

マイムが私の分まで払ってくれた。


「ありがとうマイム。後でちゃんと返すね」

「気にするな。これくらいは払わせてくれ。えっと、乗合馬車は・・」


マイムはそう言うけど、後でちゃんと銀貨3枚返そう。


乗合馬車には、旅人の馬の手入れや馬車を預かってくれるサービスもある。

マイムはそこに馬車を預けた。

代金を支払い、荷台から荷物を下す。


「まずは冒険者ギルドだ。大きな荷物もあるし、仕留めたモンスターも解体してもらわなきゃいけない」


旅の途中で食べれるモンスターはマイムが解体してくれたけど、まずくて食べれないけど皮や牙が素材(武器や服)になれるモンスターはそのままの状態でマジックサッカの中だ。

マイムはクリスタルさんが作った武器の入った袋やマジックサッカを軽々と持ち上げた。


「その後に商人ギルドで石を買い取ってもらう」

「じゃあ宝石類の袋は私がマジックカバンに入れておくね」

「いいのか?悪いな」

「これくらいはさせて。それにしても・・本当に大きな街だね」


私の住んでいた街の何倍あるんだろう?

人も多いし、活気もすごい。

肩の上に乗ったムゼンさんがくんくん鼻を動かす。


『人が多い分、様々な匂いがするな・・。悪い匂いがそこら中にある』

「悪い匂い?」

『邪な者の匂いだ。勿論そればかりでなく純な心を持った者もいるがな』


邪な者・・。

つまり不良が多いって事かな・・?

・・・・・・絡まれないよう気を付けよう。


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