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049 聖獣 キュウビのムゼン



白い子ギツネは目の前で巨大化した。

私やマイムを一飲みできるくらいの。


でも、不思議と怖さはなかった。


真っ白な毛並みに9本に増えた尻尾。

モンスター特有の凶悪さは全くない・・むしろ神々しさを感じた。


「9の尾・・・・まさか、聖獣キュウビか・・・?」


聖獣。

その名前の通り、聖なる獣。

神話にも出てくる、神聖な存在。


『人の子よ。名は何と言う?』

「り・・・・リタ・・・リタ・アンジェーロ・・・」

『そうかリタか、良い名だ。我が名はムゼン。リタよ、お前は我が身にかけられた呪いを解いてくれた』

「呪、い?」

『そうだ。よもや妖精族でもない、ただの人の子がこのような力を持っていようとは。1000年も生きたが、このような事、初めてだ』

「1000年!?」


気が遠くなるような年数を生きてらっしゃいますね!?

思わず大声で言いそうなったけど、何とかぐっと言葉を飲み込んだ。

今はそんな事言うような空気じゃない・・!


「本当に・・キュウビなのか?」

『お前はスライム族だな。この9の尾を見ても疑うか?』

「い、いやっとんでもない。しかし、聖獣がこんな場所にいるとはとても信じがたく思いまして・・」


マイムは跪いて敬語になった。

ムゼンというキュウビさんはマイムの言葉を聞いて、なるほどな、と頷く。


『確かに我は普段は森の奥深くで暮らしてる。だが3ヶ月ほど前、我はある奴と対峙し、そやつに妙な呪いをかけられた事で状況が変わったのだ』

「ある奴、とは?」

『分からぬ・・。仮面を付けた妙な奴であった。突如として我の前に現れ攻撃を仕掛けてきたのだ。返り討ちにしてやったがな。だが尻尾を巻いて逃げる直前、奴は己の血で作った刃を我に投げ放った』


その血の刃はキュウビさんの右足を掠めて、仮面を付けた相手はこう言い残したという。




「お前に呪いをかけた。お前の血に惹かれてこれから数多くの者がお前を襲いに来るだろう。キュウビといえど、いつまでもつかな?」




「血に惹かれて?」

「キュウビの血は不死の力を宿すと言われているんだ」

「不死の力・・」


ふん、とムゼンさんは忌々しく鼻を鳴らした。


『実につまらなく、癪に障る呪いであった。傷口は小さいが塞がる事はなく、血は流れ続けた。その匂いに惹かれた愚かなモンスター達が力量の差もわきまえず毎日我に襲いかかる・・。全員雑魚だから全て蹴散らしたが、流石に面倒になって森から出てきたのだ。この呪いを解ける奴を探しにな』

「・・・・え、ちょっと待って・・・。3ヶ月前に呪いを受けたって事は・・ずっとその間、血を流し続けてたって事ですか?」

『そうだ』

「・・・・だ、大丈夫なのそれって!?だって貧血どころの騒ぎじゃないですよね!?なんって嫌な呪い・・!」


私だったらとっくに死んじゃってるよ!

流石は聖獣・・・!

そんな呪いを受けてもピンピンしてるなんて・・!



『・・・・・・面白い娘だなお前は。不死である我にそのような事を申すとは・・』

「え?」


ムゼンさんは綺麗な9本の尻尾を揺らした。


『気に入ったぞ、リタ・アンジェーロ。もっとお前の事を知りたくなった。お前を知る為にしばらく共にいさせてもらうぞ』



・・・・・・・・・・。


「「ええええええええ!???」」


突然の申し立てに、私もマイムも声を重ねて驚いた。


閲覧ありがとうございます!

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