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046 王国へ向けて



二頭の馬が引く馬車の荷台のスペースは結構広かった。

一週間分の荷物を積んでもまだ余裕があった。


「マイム、昨夜のうちに作っておいた。これも売りに出してくれ」


クリスタルさんの両手には剣や槍などの武器がたくさん入った袋が・・。


「こ、これどうしたんですか?」

「そういえば、リタさんにはまだ言ってなかったわね。アタシのスキルは≪武具創製≫といって、剣や盾といった武具を作り出す事ができるの」


そう言うとクリスタルさん、両手を掲げるとその手に光が集まってあっという間にレピアが出来上がった。

素人の私には武器の事は分からないけど、切れ味が鋭そうだ。


「凄いっ」

「おまけにクリスタルの作りだす武具は頑丈だ。剣は切れ味が良く、盾は魔法攻撃も防いでくれる。だから冒険者ギルドでは高値で買い取ってくれるんだ」

「このレピアも持って行って」


それを受け取り、他の武器と一緒に荷台に詰め込むマイム。

『星の洞窟』に行けず、宝石類を採掘できなかった間はクリスタルさんの作った武器を色んな街のギルドに行って売っていたと聞いた。


≪武具創製≫。

物を作りだすスキルは確かに珍しいスキルだ。

しかもそれが丈夫で長持ちするなら、冒険者パーティーに一人は欲しい人材だろう。

だからといって、泉に毒を入れた腐れくそ冒険者達は許せないけどね!


「あれ?リバーさんも行くんですか?」


荷物を背負ったリバーさんがいた。

でもリバーさんはふるふる首を振る。


「僕は別の街に、泉から採取した薬草を売ってきます。ポーションの材料にもなりますからね・・。内緒ですけどうんと高く買ってくれるところがあるんですよ」


くくくっと怪しい笑みを見せるリバーさん。

怪しいお店の類じゃないよね・・・?


「ではマイムもリタさんも道中お気をつけて」


そう言うと、リバーさんは光に包まれていなくなってしまった。


「消えた!」

「あいつが≪転移魔法≫のスキルを持った張本人だからな」

「リバーさんが・・!」


≪転移魔法≫も凄いなぁ。

一度知った場所なら自由に行き来できるなんて。


「さ、俺達も出発だリタ」

「うん!」


馬を撫でて王国までよろしくね、とご挨拶。

これから一週間頑張ってもらうんだし。

馬は優しい目をしてるから好き。



「ばっばか!何を言ってるんだ!?」

「マイム!?」


びっくりした!

レイニーちゃんと何か話をしてるかと思ったらいきなり大声出しちゃって・・。


「どうしたの?」

「い、いや何でもない!さ、さあ行こう!」

「わわっ」


手を取られ、御者台に座るマイムと私。


「マイム、リタ殿をしっかり守るんだぞ」

「いってらっしゃい、マイム、リタさん」

「お姉ちゃんいってらっしゃーい!お兄ちゃんしっかりね!」

「う、うるさい!では行ってくる!」


何かマイムの顔が赤いのは気のせいだろうか?

一体何を話してたんだろ?


「いってらっしゃいませー!」

「お気を付けてー!」


村の人達も手を振って見送ってくれた。

手を振りかえしながら、孤児院を出た時の事を思い出した。

院長先生達は今何してるかなぁ?



マイムとレイニー、出発前の会話


「お兄ちゃんお兄ちゃん」

「ん、何だ?」

「折角一週間もお姉ちゃんと二人きりなんだから、しっかり男見せなよ・・!でないと、お姉ちゃん王国の男に取られちゃうかもしれないからね!」

「ばっばか!何を言ってるんだ!?」


こんな会話をしていたとはリタは全く知らない。


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