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036 夜の泉にて




宴の時間はあっという間。

レイニーちゃんはもう眠そうだったのでメイドの人が家に連れて行った。

他の子供達もお母さんが家に連れて帰り、残ったのはお酒で盛り上がる人達だけ。

泉があんな状態だった間、お酒は自粛してたらしいけど、今日は特別な日だからと村長(むらおさ)さんが許可を出して、貯蔵庫のお酒を引っ張りだしたとか。


久しぶりのお酒にクリスタルさん達はもうデロデロ。


「あれ、マイムさんは・・」


マイムさんがいなくなった。

どこに行ったんだろう?


「もしかして、あそこかな?」


私はこっそりその場を抜け出した。

向かった先は。






「やっぱりここだったんですね」

「リタさん」


『レクイエムの泉』の傍らに座るマイムさん。

ちびちびとお酒を飲んでいたようだ。


「わあっまるで鏡みたい・・」


夜の『レクイエムの泉』は昼と夕焼けとはまた違う神秘的な美しさだった。

夜空が水面に映ってて本当に鏡のようだった。


「ここの泉ってどの時間帯で見てもすごく綺麗ですね」

「ああ。特に俺は今夜のような夜の日の泉を見るのが好きだ・・」

「隣、座っても良いですか?」

「勿論」


マイムさんの隣に座って、私は宴の席から持ってきたオーランジ(オレンジそっくりの果物)の皮をむいて、実を頬張った。

酸味は強いけどさっぱりとした甘さが口の中を潤す。


「ん~~~っすっぱい・・!でも美味しい!」

「リタさんは本当に美味しそうに食べるな」

「美味しいもの食べると幸せいっぱいな気持ちになるんですよ~。マイムさんのご飯、すっごくすっごく美味しかったです!」


ああ、今思い出してもお腹いっぱいな筈のお腹から音が鳴りそう・・。


「もうステーキ何枚でもいけちゃって・・っあの肉汁を思い浮かべただけで涎が・・・」

「そ、そうか」

「私、食べる事が本当に大好きなんですよっ。まあ、お腹がすくのが怖いっていうのもあるんですけどね」

「怖い・・・?」


柔らかい夜風が私達の間をすり抜けた。


「私ね、11年前にアンジェーロ孤児院の前でガッリガリに痩せた状態で院長先生に拾われたんです。今の私じゃ想像つかないだろうけど」


閲覧ありがとうございます!

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