021 スライム族の長と出会いました
「俺達の村は『アニマの森』の中にあるんだ」
「『アニマの森』!?」
そこってここから凄く遠いじゃん!
徒歩だと何日もかかる距離だよ!
「そんな遠い所から来たんだ・・」
「一族の中に『転移魔法』のスキルを持つ奴がいる。そいつのお陰でこのアジトへすぐ来れたんだ」
あ、なるほど・・・。
他にもマイムさん達の村には『千里眼』の力を持つ魔道具もあったから、すぐにレイニーちゃんを見つける事ができたんだって。
「じゃあ村へはその人のスキルで帰るんですか?」
「いや、彼には病気の子供達の看病を任せているから村に残ってもらった。村に帰るだけなら、この魔法石で十分だからな」
マイムさんは腕に付けている青色の石を見せてくれた。
よく見ると、他のスライム族の人達も付けてる。
「これは転移魔法の力が宿った魔法石で、この石には俺達の村の場所がしっかり刻み込まれている。これがあれば何処にいても村へ帰る事ができる。レイニーも持っている筈なんだが・・・」
「付けるの忘れて外に出ちゃったの・・・」
あらら・・。
しかもレイニーちゃんを攫った盗賊団も転移魔法の力がある魔道具か石を持っていたのか、あっという間にあのアジトへ連れてこられたとレイニーちゃんが言った。
「今回は無事だったから良かったものの・・二度と勝手な真似はするな」
「はい・・お兄ちゃん・・・」
怒られてしゅんとなっちゃったレイニーちゃん。
でもマイムさんの目を見れば心配でたまらなかったっていうのがよく分かる。
いいなぁ兄妹愛ってやつは・・。
「それじゃリタさん、今から村へ帰るので、俺の腕に掴まっててほしい」
「え?」
「そうしないと石を持っていない者を連れていく事はできないんだ」
「お姉ちゃん早く!」
レイニーちゃんがマイムさんの背中におんぶするようにくっ付いた。
掴まるって・・私、今まで男の人と手を握った事もないんだけど・・っ。
すんげー変に緊張してしまう。
・・・・・・・・・・・きゅ。
悩んだ私は、マイムさんの袖を摘んだ。
直に男の人の腕に掴まるなんて、無理だった・・・。
「・・・・・・・・・・・・」
「あの、これじゃあ駄目、ですか?」
「あ、いや・・問題はない。では、行くぞ・・・」
マイムさんの耳が何か赤い?
どうしたどうした風邪?
パアアアアアアアアアッ!
なんて思ってたら、青白い光に私達は包まれた。
一瞬の浮遊感。
でもそれはすぐに収まった。
「・・・・・・・・・・あ・・景色が、変わった」
思わず閉じた目を開ける。
目に飛び込んできたのは、さっきまでいた殺風景な場所とは全く違う森の中。
ここが、『アニマの森』?
「リタさん、あそこが俺達の村だ」
マイムさんが指を差す方向に、確かに家がいくつかあった。
白くて丸っこい、何か可愛い家だ。
入り口付近にはモンスター避けの魔法ランプがある。
でも何か・・・。
「何か、変な匂いがしますね・・・」
「・・・・・・汚染された泉の匂いだ・・。近くに行くとこんなもんじゃない」
こんなもんじゃない・・。
いったいどれだけ酷い事になってるんだろう?
「マイム様がおかえりになられたぞ!」
「まあまあレイニー様!」
「ご無事で何より!!!」
マイム様?レイニー様?
村にいた人達がマイムさんとレイニーちゃんを取り囲んだ。
でも何で様付け?
「村長!レイニー様がお戻りになられました!」
村長?
ああ、村で一番偉い人か。
「レイニー!」
何かガタイの良い人が出てきた!
ムキムキだぁぁ・・・。
「パパー!!」
「パパ!?」
レイニーちゃんが泣きながらその人に抱き付いた。
「パパ、パパ!」
「レイニー・・!勝手に村を出てはいけないと言っただろう!?・・・無事で良かった・・・」
「ごめんなさいパパ・・!」
感動のご対面・・・いや、それよりパパって。
ひょっとして、レイニーちゃんとマイムさんって。
「村長の子供・・・?」
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