表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/163

ローアル・side story/僕の本当の幸福は④


 君が左眼を失ったと知った日。

 出血多量で君が目を覚まさないかもしれないと覚悟した日。

 目を覚ました君を見て、泣くのを我慢して笑った日。


 『君のおかげで…なれたんだ、名誉ある専属騎士に。ありがとう。』


 …ほら、見てよエステレラ。


 僕はもうこんなに幸せだ。


 だからもう…これ以上君が身体を失う必要なんてない。


 もう、いいんだ。充分なんだよ。


 涙をこぼす代わりに、言いたくもない偽りの幸福を語った。


 これ以上傷ついて欲しくない。


 もうこれ以上僕のために、自分を犠牲にして欲しくない。


 僕が最高に幸せだと笑えば、君はもう何も犠牲にしないよね…?




 ——宮中には僕とエスピーナが相思相愛だとか、毎晩僕がエスピーナの寝所に通っているだとか、それをエステレラが邪魔しているとか、根も歯もない噂が広がっていた。


 それを流したのはエスピーナ自身だと後から知った。


 いくら否定したところで噂は一人歩きしていった。

 今思えば宮中には、僕とエステレラを引き裂く様々な噂が飛び交っていた。

 互いの意志を確認する間もなく。


 会えない日が続いて、二人とも悪い噂に振り回される瞬間もあっただろう。

 人の心を操るのを得意としたエスピーナの言葉に、みんな踊らされていたのだろう。


 僕がどれだけ幸せだと言ってもエステレラは、エスピーナと結婚するまで自分の体を犠牲にするだろうと言われたのだ。


 心底嫌だった。

 エステレラを貶めたエスピーナと結婚するなんて。けれど。


 僕がエスピーナと結婚すればエステレラは本当に、もう自分を傷つけなくなるのか…?


 君は僕を本当に大切に思ってくれていて、エスピーナと結婚することが僕の幸せだと思っているの?


 そうすることで君は安心するのか…?


 ディー・ハザック・ストレーガがかけた魔術は解ける…?


 君は苦しみから解放されるのか…?


 ———————愛してる。エステレラ。


 僕は君を愛してる。君だけを愛してる。


 君には幸せでいてほしいんだ。


 どんな形だっていい。生きていてほしい。


 エスピーナと結婚するよ。するから。


 それで僕が幸せだと思ってくれればいい。


 だからもう自分を傷つけないで……


 それなのに——————


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ