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ローアル・side story/僕の本当の幸福は③


 皇室から何の権限も持たされていないと言われているエステレラが、急に外交で他国に赴くことになったというのが不可解だった。


 さらに運悪く外交先の魔獣に襲われたと言う。

 あまりに信憑性のない話に、僕は直接エスピーナを問い詰めた。


 そしてついにエスピーナは白状した。



 『あの娘のそばにいるディー・ハザック・ストレーガが、魔術であの娘の身体を奪っているのよ。』


 『でも悪いのはディーじゃない。

 あの娘が何で自らを犠牲にしているか分かる?

 …あなたよ。エステレラは自分の身を犠牲にして、あなたに身分を買って与えているの。

 全部あなたのためよ?ローアル。

 だから悪いのはあなたよ?』


 それまで大人しく微笑んでいたエスピーナが恍惚とした表情で嘲笑った。



 死にたい。


 僕のせいでエステレラの身体が…


 その前にあの男を殺してやる……!!



 『だめよ、ローアル。エステレラはディーに精神操作の魔術をかけられているの。

 ディーの魔術は強力で、無理に解けばエステレラの精神は崩壊するわ。それはディーを殺しても同じこと。

 エステレラの望みはあなたの幸せ。

 あなたが幸福だと納得できるまで、彼女は自分を犠牲にするのよ。

 …可哀想なエステレラを救えるのは貴方だけ。

 だからこれからは彼女の前で私を好きだと言い、自分は幸せだと笑いなさい、いいわね?』


 剣を握りしめ、ディー・ハザック・ストレーガを殺そうと泣いている僕を見て、悪女が嗤っている。


 ぜんぶ、この女が仕組んだことだったんだ……


 何もかも、すべて。


 ………エスピーナもディー・ハザック・ストレーガも許せない…!!

 エステレラのことを一体何だと思ってるんだ…!!



 何とかしてエステレラにかけられた魔術を解かなければならないのに、その方法が全く分からなかった。


 だがエスピーナは容赦なく僕に、自分に惚れているようにエステレラに振る舞えと言った。

 僕がエスピーナに恋をしているみたいに見せろと。


 そうしなければ、ますますエステレラを追い詰めてやると僕を脅した。


 魔術を解くためにディー・ハザック・ストレーガを殺すこともできず、エステレラを救うために僕は、幸福じゃないのに幸福なふりをしなければならなかった。

 あまりにも矛盾した全てに、僕の精神は崩壊してしまいそうだった。



 それは、まるで地獄のような日々だった。



 暫くして、今度は伯爵の爵位が与えられた。

 つまりそれはエステレラがまた、自分を犠牲にしたという証拠だった。


 エスピーナを問い詰めると、彼女は悪びれもなく嗤った。


 『臓器を一つ、取引したみたいね。あなたが幸せそうにしないせいよ?』


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