ローアル・side story/僕の本当の幸福は②
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しばらくして、エステレラが西棟の入り口で血を流して倒れていた、という噂を耳にした。
ケガをした彼女が、皇帝に連れて行かれたとも。
確かにエステレラはずっと戻らなかった。
心配でたまらなかった。だが、どんなに僕がエステレラに会いたいと使用人長に掛け合っても、今は会えないと言われるだけだった。
暫くすると、エステレラが皇帝の娘となり、トルメンタ帝国の第二皇女になるという噂が流れた。
エステレラは西棟には戻らず、皇女として、東の離宮に移り住んだと聞かされた。
「ほら見なさいよ…!あんた…捨てられたのよ!」
あの時エステレラを侮辱し、僕が睨みつけた使用人の女が勝ち誇ったように言った。
それから皇宮ではエステレラを『皇帝を下賎な体で誘惑した姫』だと誰もが口にした。
のちにそれを流したのはエスピーナだと知る。
だがその時点では何一つ事情が分からなかった。
本人に会えない辛さで、僕は気が狂ってしまいそうだった。
———エステレラに会えないまま、僕はなぜか身に覚えのない働きで準貴族の爵位を授与され…
その後すぐに、皇帝が弑逆されたことを聞かされた。
弑逆したのは何とフォンセ副団長で、気が狂った彼は獄中で皇女までも弑逆しようとし、その場で処刑されたのだそうだ。
副団長は大罪人としてその首を城壁に晒されて、残りの遺体は野晒しにされた。
帝国でも屈指の伯爵家だった副団長の実家は取り潰しになり、一族も次々に処刑された。
さらに皇帝弑逆に加担した疑いでメルフラフ宰相をはじめ、ポルコ長など、数多くの皇家の忠臣や貴族たちが処刑された。
聞いた話だと、帝都の中心部にある処刑広場には、連日洗い流しても落ちないほどの血が流れ出たそうだ。
その後…エスピーナ皇女が皇帝に即位し、本格的な独裁国家が始まった。




