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ローアル・side story/失ってしまった僕の星⑤


 初めて感じたこの感情の名は、嫉妬。


 ドロドロとした、穏やかでない、エステレラを奪われたくないという気持ち。


 こんなに醜い自分を君に知られたくないな……


 「昨日は大丈夫だったの?

 陛下に、何もされなかったかい?」


 夜も更けた頃にエステレラが部屋に戻ってきた気配を感じた。

 本当は走って隣の部屋の扉を開けて無事を確かめたかったけど、いつもの自分じゃないのを知られてエステレラに嫌われてしまいそうで、ぐっと我慢した。

 それから少しだけ眠りについた。


 完全に夜が明けるとすぐにエステレラに会いに行って、恐る恐るそう尋ねた。

 彼女は眠そうに欠伸をしながら不思議そうな顔で僕を見上げた。


 「大丈夫だったよ…?陛下は私の刺繍の腕を見たかっただけみたい。」


 そう彼女がいつもと変わらない笑顔で言ったので、ようやく安心することができた。


 大丈夫だ。嘘をついているようには見えない。

 何もなくて本当に良かった………




 ———しかし後日、エステレラが今度は帝国一の魔術師ディー・ハザック・ストレーガ公爵様に呼び出されたと聞いた。


 ディー様と言えば、わずか18才ながら公爵家当主であり、魔術師としての才能は帝国一だと聞いている。

 何より麗しいその美貌が女性たちの間で大の人気な方らしい。


 この前の皇帝に引き続き、なぜこうもエステレラを…?


 もしかしてエステレラのこの可愛さに惹かれたなんてことはないだろうか…?


 あり得る。

 この前の皇帝陛下もディー様も、エステレラの魅力に気づいてしまったのかもしれない。

 そう考えるとまた胸がチリっと焼けついた。




 ———僕たちは皇宮に召し抱えられてから、謂われない差別を受けることが多かった。


 陛下のご好意で憧れていた皇室騎士団の訓練を受けることになったが……


 訓練生の子息たちが僕に嫌がらせを繰り返した。また、それを扇動しているのが、フォンセ様という噂もあった。


 だが、僕は耐えた。

 馬鹿にされても黙っていたのは、頑張って努力すれば、いつか本当に皇室騎士になれるかもしれないと思っていたから。


 皇室騎士になって爵位を賜れば、もう誰にも『下賎な身分』とは呼ばせず、堂々とエステレラにもプロポーズができる。


 彼女の喜ぶ顔を見るためなら、僕のちっぽけなプライドなんていらない。

 そのためならどんな屈辱も甘んじて受け入れようという思い、耐えた。


 ———しかし子息たちは卑怯にも大人数で僕の手足を拘束し、リーダー格のそばかすの奴を中心に、体を傷つけられてしまう。


 「貧民が…!思い知ったか!」

 「ギャハハ…」


 剣や拳で僕を殴るだけ殴り、気が済んだ彼らは笑いながら去って行った。


 悔しかった。


 一対一の対等な勝負なら、負けない自信があるのに。

 剣を持たせてもらえたら実力を示せるのに。

 身分がないことがこんなに情けないなんて。

 顔も服もボロボロになってしまった。

 エステレラに合わせる顔がないな…


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