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ローアル・side story/失ってしまった僕の星⑤

 

 

 その夜はやっぱりエステレラが泣いてしまった。


 僕をベッドに座らせて、泣きながら背中を治療してくれる彼女に申し訳なく思った。


 「ひどすぎる…よってたかってローアルにこんなケガを負わせるなんて…人間のクズだわ!許せない!」


 僕のことを心配して泣いてくれるエステレラの気持ちが嬉しい反面、そうさせている自分が、本当に惨めで情けなかった。


 自分のケガよりもエステレラの涙を止めたいと思い、顔を上げて平気なふりをした。

 それよりも彼女がディー様に呼び出されたことの方がよっぽど気がかりだった。


 じっとエステレラの美しい赤い瞳を見上げて僕は尋ねる。


 「…それよりも、エステレラこそ、何もされてないの?

 この前は皇帝陛下、そしてその次には魔術師様に呼び出されて…本当に心配したんだよ。」


 本当は嫉妬で狂いそうだったと言えたらどんなにいいだろう。


 やはりエステレラは、前回と同じようにキョトンとした顔をしていた。


 「私は大丈夫だよ。」


 殺されたり、拷問されることを心配してくれていたんでしょ?とでも言いたげにエステレラは無垢な表情をして僕を見つめた。

 密着し、服越しに伝わる彼女の温かい体温にいつも安心する。


 僕が心配しているのは君が、自分がどれだけ魅力的なのか自覚がないところだよ。


 そう言いたいが恥ずかしくて言えなかった。


 それからエステレラに僕の本音を言い当てられて動揺した。


 騎士団で剣を握らせてもらえないこと。

 身分が低いからと理不尽な暴力を受けたこと。

 そのことがどれだけ悔しいかということ。


 言われて初めて僕は悔しいのだとエステレラの前でボロボロ泣いてしまい、エステレラはそんな僕と一緒に泣いてくれた。


 僕の愛しい、優しいエステレラ。

 このまま離したくない…


 情けないけれどそばにいたい。


 僕がどれだけ君を好きか分かってくれる?


 君が好きすぎて、日毎に大きくなるばかりのこの気持ちを。


 この城から出ることができないなら、せめて。


 エステレラと二人で幸せになるためには、なんとしても皇室騎士を目指さなければ。


 そんな灯火のような気持ちが、僕を強くするのだった———————————



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