ローアル・side story/失ってしまった僕の星③
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それからは廃墟で一緒に暮らした。
子供だけで生き抜くための知恵を出し合い、寒い夜でも二人で身を寄せ合った。
ただ、二人で毛布に包まるだけで温かかった。
何よりエステレラがとても素直で、優しいところが大好きだった。
僕が狩りでケガをすればすごく心配して、一人で森に入ってまで薬草をかき集めてくるし(それは危ないからやめてねと言ったけれど)、風邪をひいた僕のそばで泣きながら、看病してくれたこともある。
「ローアルが死んじゃったらいやだ…」
「そんな…大げさだなエステレラは。簡単には死なないよ?」
「ただの風邪だとゆだんしたら、ダメなんだよう…」
泣きじゃくるエステレラ。それでも僕のそばを離れようとしない。
その様子が何だか愛おしくて、笑いが込み上げてきた。
「アハハハ…っ、ゴホッ、ゴホッ。」
「ローアル!?大丈夫?…もうっ、笑うからだよ。」
咳込んだ僕を優しくさすってくれる。
だけど思わず笑ってしまった僕に対して、分かりやすく拗ねていた。
プクッと膨れた頬は、まるで子リスが餌を口に詰め込んでいるみたいに豪快な膨れ方だったから。
エステレラは僕より1、2歳は年下なのではと思うが、素直で可愛いく、どことなく教養深いところがある。
彼女を捨てた母親が学がある人だったのか、立ち振る舞いや所作はいつも上品だった。
恥ずかしがり屋の僕のフォローは欠かさず、家のことや料理や洗濯を頑張ってくれたし、いつも僕に感謝の言葉を伝えてくれる。
父から呪いだと言われた僕の容姿を好きだと言ってくれる。
「ローアルのその、綺麗でサラサラの銀髪と、オーロラみたいな瞳が大好きよ。」
「あなたがいてくれて、本当に良かった。」
何事にも素直に気持ちを表現する。
いつも一緒に添えられる笑顔が眩しすぎて、僕はつい顔を背けてしまう。
強く逞しく、生きる情熱を持つエステレラに僕はいつも助けられていた。
それから何度目かの冬の前に、一度だけねだられて狩に連れて行ったことがある。
エステレラの前で格好つけて、何とか獲物を獲ることができたその日。
その場で捌いた子鹿を食べることにした。
食事をして、焚き火を見つめながら、僕はふと彼女に皇室騎士に憧れていることを話した。
だが、皇室騎士は憧れで努力すればなれるというわけではない。
少なくても男爵以上の身分でないと資格がないのだ。
スラム街で育ち、今は貧民で身分がない僕にすれば到底夢物語。
それにも関わらずエステレラはその夢を貶したり、諦めろと諭したりしなかった。
「皇室の騎士……?素敵ね。
ローアルらしい、立派な夢だわ。」
本当に澄んだ美しい瞳。
「身分なんか関係ない。ローアル。
あなたはきっと皇室騎士になれる。」
温かいエステレラの気持ちに触れるだけで心が癒されていく。
狭い距離で情熱的に見つめられて突然心臓が跳ね上がる。
恥ずかしくなって、いつものように顔を背けた。
何だろう。この気持ち。
エステレラを見るだけで胸がキュウっと切なくなる。
なりたい。皇室騎士に。
なって、エステレラをもっと、今よりもっと幸福にしてあげたい。
そんな不思議な気持ちが芽生えていった。




