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ローアル・side story/失ってしまった僕の星②

 

 名前のない少女を棲家にしている廃墟に連れて行き、火のそばに座らせた。


 この家にあった毛布を渡す。

 干し肉を与えて、桶に溜めていた井戸水を温め直して飲ませた。


 珍しい赤い瞳に、赤茶色の髪をした、今にも折れてしまいそうな小さな少女。

 瞳は潤み、満たされたような表情をして言った。


 「ありがとう…ローアル…?」


 ありがとう、だなんて。

 僕は驚き、思わず視線を逸らした。

 出会った時は死にかけていたのに、まるで花が咲いたような笑顔だった。


 名前がないという彼女に思い付いたのは『星』という言葉だった。

 以前父親に、自分の名前の意味について聞いたことがある。


 その時に一緒に聞いた名前が『エステレラ』。

 星という意味だ。


 おかしな気分だった。

 確かに今朝までは死のうと思っていたのに、今は目の前にいるこの小さくか弱い少女を放っておくことができない。


 僕の前に現れた『エステレラ』。

 夜空に浮かぶ星と月は必ずそばにいる。


 無意識に彼女のそばにいたいと願いを込めていたんだろう。


 「ローアル…月?そうなの…貴方の名前も本当に素敵ね…」


 力強い眼差しで、彼女が僕を見てる。

 向けられた笑顔がどうしようもなく可愛くて、僕はまた目を伏せた。


 …不思議だ。彼女を守りたい。


 彼女を守りたいと思うと、生きる希望が湧いてくる。

 死にたいと思っていたのに…

 エステレラに出会ったことで僕は生きたいと思うようになった。


 彼女は本当の意味で、絶望していた僕の前に現れた、輝く『星』だった。



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