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ローアル・side story/失ってしまった僕の星②


 ◇


 あの雪の日に、死のうと思っていた。



 僕の家族と言えば父だけで、昔はそれなりの貴族だったらしい。

 でも父はギャンブルで借金を抱えて没落し、借金取りからも逃げ、そのうちスラム街で暮らすようになったという。


 機嫌の悪い日は当然のように殴られた。


 「あ…?なんだ?その目は!!」


 「いえ、何も…」


 「お前のその不気味な薄紫色の瞳が気に食わないんだよ…!

 お前のせいで妻は死んだ!お前のせいだ…!

 お前さえ生まれてこなければ…!

 この疫病神が!」


 「ご、ごめんなさい!」


 僕の容姿は両親のどちらにもない薄紫色の瞳に、銀色の髪。

 父はそれを呪いだと言った。


 母は僕を産んですぐ亡くなったらしい。

 それを、呪われた僕のせいだと。


 しかしそんな父にもまれに機嫌の良い日があり、時々狩りに連れて行ってもらえる事もあった。


 だがやはり大半は、荒んだ生活をする父からの耐え難い暴力を受け続け……



 そして、遂に———

 父は森の外れにある崖の上で、僕の首を絞めて殺そうとしてきた。


 「お前さえいなければ!妻は死ななかった!

 俺がギャンブルにハマることもなかった!

 没落することもなかった…!

 お前が生まれてこなければ!

 呪われたお前さえいなければ…!

 なんで生まれたんだ?要らないんだよ!

 誰もお前なんか必要としない!お前なんか死んでしまえ!」


 そんなにも僕を憎んでいるの…?


 理不尽な暴力が牙を剥き、父の残酷な言葉が僕の心を突き刺した。


 だけど僕は死にたくなかった。だから必死に抵抗してしまったんだ。

 結局僕が暴れたことでバランスを崩した父は、崖の下に転落してしまい。

 崖下は深い森で彼の姿を見つけることはできなかった。


 僕のせいだ。呪われた僕の。

 僕が間違ってこの世に生まれてきたせい。


 

 その後僕は父と暮らした家には戻らず、スラム街にある廃墟の一つに棲家を移した。


 父に教わった狩猟のおかげで、森に入り一人で獲物を獲ることができた。

 保存食を作り飢えを凌いだが、十分な栄養は取れなかった。

 また、この厳しい気候が体力を奪っていった。


 トルメンタ帝国はとにかく寒い。


 子供の自分がこの冬を乗り切ることは、できないかもしれない。

 それでも貧しいスラム街では、誰一人救いの手を差し伸べる者はいなかった。

 あまりに荒んで見窄らしい生活をしてきたせいで、自分が元は貴族だったかどうかも、分からなくなっていった。


 そんな状況で、冷たい廃墟で眠る夜は嫌というほど悪夢を見た。


 『お前さえ生まれてこなければ』

 『誰もお前なんか必要としてない』


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