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前世編/それでも最期に願うのは①


  

 「アハハハハハッ!本当に!どこまでも馬鹿な女!

 お父様はお前の父親ではないわ。何を夢見たことを!

 その口で語るなど悍ましすぎる。

 …けれど今日は特別に許してあげるわ。

 愚かなお前に教えてあげるわね。

 …ローアルは知っているのよ?

 すべて…ね。

 お前が自分を犠牲にしてまでディーの元で、禁忌の魔術を行なっていることを…ね。」



 それまで以上に心臓がドクンと跳ねる。


 …知ってる?ローアルが…?



 「かわいそうなエステレラ。

 ローアルはお前に何も話さないのでしょう?

 お前が危ない目に遭っていると知りながら、ローアルは一言でも『やめろ』と止めてくれたかしら?

 止めるはずないわ…

 だってお前はローアルにとって、それだけの存在だもの。アハハハハハ!

 惨めなエステレラ!可哀想なエステレラ!偽物のお姫様!

 お前はローアルにとって、“死んでもいい人間”なのよ、エステレラ!」


 心底楽しそうに、エスピーナは高笑いした。

 目の前が真っ暗になり冷静さを失う。


 『彼は貴方じゃなく、わたくしを選んだの。

 …だって何の権力も持たない偽物の姫より、富も名声も何もかもを持つわたくしを選ぶのは人間として当たり前でしょう?

 わたくしはこの国の女皇帝なのよ?

 わたくしに寵愛されれば、何でも欲しいものを手に入れられるし、贅沢な暮らしもできる。

 自分を下賎な人間だと虐めた気に入らない貴族たちを殺すことだってできる。

 だからローアルはあなたを利用して、わたくしを手に入れようと必死だったわ。』



 …やめて。



 ローアルはそんな人じゃない。



 『それから、彼はわたくしをいつも愛おしいと言ってくれるわ。

 夜はいつも同じ寝所で眠るのよ。あなたは彼の肌の心地良さを…知らないわよね?

 愛される喜びを。』


 『ベッドの中でローアルはいつも情熱的な目をして、わたくしに愛していると囁くわ。』


 『あなたが滑稽だって笑っていたわよ…?

 自分のために身体を犠牲にする馬鹿な女だって。

 別に死んでも構わないって言っていたわ。』


 エスピーナの嘘だ。


 嘘。嘘だ。ローアルは何も知らないのだ。


 …そうでしょう?ローアル。嘘でしょう?


 ローアル。…知っていたの?


 いつから?


 いつから知っていたの…?


 私が死んでもいいと…………思っていたの?



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