前世編/私たちは変わってしまった①
ずっとこんな調子。
戸惑いながら私は後ろをふり返り、背の高いディー様を見上げた。
「ディー様。…もう。本当に私の誕生日はいつかなんて分からないんですよ?」
「だから『今日』でいいんだよ。
わたしとお前が初めて出会ったあの日が、お前の誕生日だ。」
「全く。変な理屈です…」
どこか照れ臭い。
ディー様はそんな私を慈しむように見おろしている。
女官たちの噂話はあながち嘘ではない。
これまでローアルが手に入れた地位は、私が自分の体の一部と引き換えにしたものだから。
———今の私の年齢は16歳くらい。
この歳で小指、左脚、片方の腎臓を失った。
魔術で切断された欠損部分の出血量が多く、何度も死の淵を彷徨った。
魔術による取引を持ち掛けてきたのはディー様だったが、それに乗ったのは私。
それなのにディー様はいつも私に申し訳なさそうな表情をされる。
だから私の面倒を甲斐甲斐しく見てくださるのだろうか。
罪悪感なんて必要ないのに。
これは全て私が望んだ事なのだから……
庭園を散歩するディー様と私の元に、一人の女官が近寄ってきた。
「エステレラ様、ただいま応接間にて、ローアル様がお見えになっております。いかがなされますか?」
「ローアルが?………すぐ向かいます。」
「畏まりました。」
女官は無愛想に離宮へと戻っていく。
私は急いで戻るように言うが、なぜかディー様は訝しがるような表情をした。
その後もディー様は無言で、車椅子をゆっくり離宮へと向かわせた。




