前世編/私も本物の皇女だった④
フォンセは檻から腕を出し、エスピーナに掴みかかる。
しかし寸でのところで避けられ、その機会を永久に失ってしまう。
「誰か!早くこの男を殺してちょうだい!」
「皇女様!この、よくも…!!」
牢番に鍵を開けさせ、騎士が素早く剣を抜き、フォンセの首を剣で切り裂いた。
あまりに一瞬のことで、フォンセ自身も予期せぬことだった。
しかし、首を切られる最中に見たエスピーナの顔が、あまりにも満面の笑みだったことで、フォンセはとある事実に気づいてしまった。
———そういう事か。
わざと逆上させ、フォンセの首を刎ねさせることが、ここに来た本当の目的だったんだと。
裁判さえ受けさせず、自分に繋がる一切を闇に葬る。本当の悪魔だ。
フォンセは首だけになってもなお、最後に呪いの言葉を吐いた。
「皇女…エスピーナ…許さない…絶対に」
フォンセは、本人死亡のまま皇帝弑逆の大罪人となった。
その首はしばらく城壁に晒された。
フォンセの身分は本人死亡のまま剥奪され、その身は荒野に打ち捨てられた。
また、フォンセの出自である伯爵家は取り潰しになり、その家族や親戚に至るまで全て処刑された。
それだけでなく、エスピーナは、今回の皇帝弑逆に関わった全ての人間を排除した。
自身を傀儡にしようとした宰相のメルフラフを始め、国交管理者のポルコや従者などに冤罪を着せ、裁判を待たずして処刑し、口を封じ、全てを闇に葬った。
そうして、エスピーナはついに、トルメンタ帝国で初めての女皇帝になった———。




