前世編/私も本物の皇女だった①
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「皇帝陛下…!」
私を呼んでいると聞き、皇帝が寝かされている天蓋付きの寝台に駆け寄った。
刺されて重傷だと聞いている。
皇帝の顔は青ざめ、時々引き攣るような表情を繰り返していた。
それを見るたびに、身が引き裂かれるような思いがした。
「なぜです…なぜこんなことに…?」
震えながら皇帝の両手を強く握りしめる。
皇帝はエスピーナ皇女を始め、臣下や医者たちにある程度の距離を取らせる。
それから私を見つめ、短い息を吐き、静かに語り始めた。
「エステレラよ…わたしは…生まれてからずっと皇族として…生きてきた。
…私利私欲が渦巻き、権力争いでいつ殺されるかもしれない…世界を…
ずっと足掻いて生きてきた…
そんな中では…元皇后…エスピーナの母親ともただの政略結婚であり、愛のない…関係しか…築けなかったのだ…」
「陛下、……どうかもう、ご無理をなさらないで下さい…!」
口を開くたびに苦しそうに息を吐く皇帝。
今すぐ休むよう嘆願したが、皇帝は弱々しく首を横に振った。
「いいんだ…聞くんだ…エステレラ。
…愛はなかったが…やがて…エスピーナが生まれ…元皇后は…若くして病死した。
…その時、わたしは…たった1人の娘…であるエスピーナを…全力で愛してやろう…と誓ったのだ。
だが…十数年前、とある貴族の…令嬢に出会い…わたしは…初めて人を愛した。」




