前世編/皇帝と偽物の姫②
冬間近でも、色とりどりの花が咲き乱れる皇宮の広い外通路を歩く。
「陛下はなぜこのようなことを…」
「さあ。私たちには陛下のお考えは分かりません。」
女官長のキュルマは私に聞くなという態度を取る。
彼女を含めた使用人たちは、きちんと礼儀は弁えているものの、どこか冷たかった。
それはそうだと、私はすぐに怯んだ。
だが今度は違う質問を投げかける。
「あの…私の幼なじみの、ローアルは今どこで何をしているかご存知でしょうか?」
颯爽と前を行く彼女は、振り返ることなく応えた。
「さあ…私には分かり兼ねます。」
「…」
当然と言えば当然のことだ。
指を失ってから、一度もローアルに会っていない。
それにディー様からの連絡もない。
ちゃんと約束を守ってくれたのかしら?
ローアルは何かの身分をもらって、皇宮で少しでも優遇されるようになったのかしら。
会いたい………
ローアルに、無性に会いたい。
あの愛おしい、眉を下げて笑う顔が見たい。
広い中庭を抜けると、色鮮やかな外壁の東の離宮が姿を現した。
外には兵や使用人が待機していて厳格な雰囲気が漂っていた。
…元々は、誰か新しい妃を迎える為に建てられた離宮だったという。
まるで小さな城のような外観の建物から中に入る。
通路の先には多様な部屋が完備されていて、厨房やバスタブはもちろん、食堂や大広間、そして大規模なパーティーを開くことができるホールなどが広がっていた。
離宮について一通りの説明を受けると、必要な時に呼ぶようにとキュルマに言われた。
やっと全員下がってもらうと、ようやく一人になった。




