表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

151/163

現世編/認めるしかない(ディーside)


 

 ———エステレラが死んだと分かった後、彼女の冷たい身体を抱いて一晩中泣いた。


 まれに魔力持ちの人間が自分の命と引き換えに、魔術で相応の対価を取引するのと同じような現象が起きるという。


 本当は眠らせるように息を止めるはずだったエステレラが、私が手を下す前に、自分の命を捧げてまで何かを願って逝ったのだと悟った。


 その願いが一体何なのか300年も分からなかったが…


 …わたしはまた、間違えた。


 エステレラが最期に願ったのは、わたしやローアルを憎み、忘れてしまうことだと思っていた。


 けれど雪山でエステレラは記憶を取り戻した。


 自分の命と引き換えに、ローアルの幸福を願ったのだとようやく分かった。


 ずっとひどく壊されたはずなのに、エステレラは最期まで愛する男の幸福を願っていた。


 …それほどまでにローアルを愛していたのだと知ると、わたしの想いなど本当にちっぽけだと思い知らされた。


 口では彼女を愛していると言いながら、わたしは何をしてあげられただろう?


 エステレラが死んでから、エスピーナに死だけを報告した。

 遺体を獣に荒らされないようにストレーガ家の土地で、密葬した。


 それからほどなくして魔力に包まれた小さな箱と鍵、手紙が公爵家のわたし宛に届いた。



 『ディー様へ。

 皇室に伝わる『ケレブの心臓』のことを知りました。

 トルメンタの城の地下にはエスピーナ様が誰にも近寄らせない、錠付きの部屋があると聞きました。

 そこに入るまで壊れた姫だと皆私を恐れるため、とてもうまく部屋まで辿り着きましたよ。

 扉の鎖も錠も、『ケレブの心臓』が入った小箱の錠も私が触れると、なぜか簡単に壊れました。

 なので地下から持ち出すことができたのです。

 …これがある限りディー様はエスピーナ様に逆らえないのでしょう?

 これで自由になれますか?

 どうかエスピーナ様に縛られることなく、自由に生きれますように…』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ