現世編/魔力暴走③
ローアルがより強い力を腕に込めて、私を抱きしめる。
「ローア……ル」
「エステレラ……好き………だよ。今度こそ一緒に逝けるね…………。」
前世でも、こんなに私のことを想ってくれていたのだろうか。信じられない。
それから炎のように燃え上がる魔力が、徐々に全体を覆うように押さえつけられていく。
私の暴走した魔力を上回る赤く力強い魔力。
自分の中の激しい魔力が掻き消され、激しく燃え上がっていたオーラがたちまち消えていく。
雪の中をこちらに向かって歩いてくるのは。
「…どうやら間に合ったようだな。」
傷だらけの身体を引き摺りながらも逞しく微笑んで見せたのは、お父様だった。
「お父様……?」
私の魔力暴走を一緒になって止めてくれたのは、前世でも現世でも血の繋がりがある父、アウトリタだった。
私はようやく動いた身体を少し持ち上げて尋ねた。
寄り添うように、ローアルが背中を支えてくれた。
「…魔獣はどうなったのです?」
「心配ない。全ての討伐が済んだ。
残るはそこで、死にかけているグレイシャルだけだ。お前が魔力暴走で力を奪ったんだな。
危なかったが、よくやった。
…エステレラ、帝都に戻ろう。凱旋だ!」
お父様の甲高い声と共に後方に引き連れていた騎士たちや、魔術師たちが一斉に歓喜の声を上げた。
「皇帝陛下万歳!」
「エステレラ様万歳!我らに勝利を与えてくださった!」
「ディー、よくやった。礼を言う。…ん?
お前…目が!!?」
そう言ってディーに声をかけた直後、本当に驚いたようにお父様は目を見開いた。
ディーは、魂が抜け落ちたようにその場に崩れ落ちた。
「…助かっ……た。陛下…エステレラ、無事で良かった……」




