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現世編/とある騎士の復讐①


 ◇◇◇



 お父様の前に再び引き摺り出されたエスピーナは、皇女暗殺未遂で今度こそ重罪となった。


 お父様はもう少しで娘が死ぬところだったのだからと処刑を求めたが、このレールタ帝国では罪人を処刑する制度はない。

 その代わり重罪人を閉じ込めるための監獄にエスピーナを送ることで決着がついた。


 処刑されてもおかしくなかった状況で、それを私が許可しなかった。



 「エスピーナはまだ若いわ。

 いつか自分のした事を悔いて、反省する日が来るかもしれないから。」


 「…お前は優しすぎる!」


 娘を思って腹を立てるお父様に、私は思わず苦笑いした。


 「誰に似たんでしょう?」



 それからエスピーナと顔見知りだったというローアルを巡っても、審議が行われた。


 なぜあの場に現れたのかと聞かれたローアルは、「エスピーナ」と名乗るものと因縁があって皇女に害を成すかもしれないと胸騒ぎがしたため後をつけた、と答えた。


 国の高官たちからは「暗殺者と共謀した」などと声も聞かれたが、それには私が真っ向から対立した。


 「そばで見ていたので分かります。

 ローアルは彼女を心底憎んでいました。

 …2人の言う前世で何があったかは分かりませんが、彼が自分の命を顧みず私の命を救ったのは事実です。

 だからローアルとエスピーナの共謀説は有り得ません。」


 審議中に「前世の記憶」についてずっと黙秘を続けたローアルに対しお父様は声をかけた。


 「…ローアルよ。

 いつかは話してくれるか?

 …エステレラの命を救ってくれたこと、心から感謝している。」


 「……ありがたいお言葉、こちらこそ感謝いたします。皇帝陛下。」


 長く沈黙を貫いたローアルは、静かに深く敬礼をした。

 銀色の髪が揺れ薄紫色の瞳を閉じた。

 そこには洗練された、美しい所作を奮う少年がいる。


 たしかに彼は…平民というにはあまりに貴族のような言動が多く、実はどこかの皇族だったのではないかと錯覚してしまうほどだった。



 …いつかは、あなたのその前世の話を私にもしてくれる?


 ローアル。


 これまでの話を纏めた限り、それは少なからず私にも関わることなんでしょう?


 私たちは本当に前世で…出会っていたの?


 だから私に愛していると…?


 何かを秘めたような顔をするローアルを見ていると、そう思わずにはいられなかった。


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