117/159
現世編/二人からの求愛③
「エステレラ様にお似合いだと思って、こっそり買っておいたんです。
エステレラ様のその美しい赤茶色の髪に、とてもよくお似合いになると思います。
僕の気持ちです。どうか受け取って下さい。」
「…あ、ありがとう。」
あまり自慢にならない髪をそんなに褒めてくれるなんて。
初めて特定の異性からもらうプレゼントに、私はまた胸をドキドキとさせていた。
その私とは違い、少しだけ目を細めたローアルはどこか寂しそうに遠くを見つめて言う。
「…実は。遠い昔に、大事な人に渡しそびれた物を思い出して買ったんです。」
ローアルに大事な人が…?
「あっ、でも今大事な人はもちろん、エステレラ様ですよ?心配しないでくださいね。」
「し、心配なんてしてないわ。」
振り返ってローアルはまた熱い眼差しで私を見つめた。
それなのになぜかチクリと胸が痛んで、私ははぐらかすように視線を逸らした。
「…愛しています、エステレラ様。
今日は僕にこのような貴重な時間を下さり、感謝しかありません。」
相変わらず、いつものように熱い告白をする。
でもその瞳はやはりどこか寂しそうに見えた。
…遠い昔に髪飾りを渡し損ねたというローアルの大事な人。
幼い頃の話だろうか?
それを聞いてチクリと胸が痛むのはどうしてなんだろう。




