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現世編/新しい日々①


 ◇◇◇



 昨夜、ローアルはレールタ帝国の第1騎士団に正式に入団した。


 始めは2度目の人生を、生きる意味を見出せないまま騎士を目指した。


 だけどそこで、エステレラに再び出逢った。

 紛れもない奇跡だと思った。


 でも、生まれた時から前世の記憶を持っていたローアルとは違い、彼女は全く記憶を持っていないようだった。


 前世の記憶というものは、途中からでも思い出すものなのだろうか?


 けれど、アウトリタ皇帝も生まれ変わったようだが、全く記憶はないようだった。

 ローアルは前世で、エステレラが死んだ後で彼女が本当の皇女だったという事実を知った。

 皇后のトリステル様は、どことなくエステレラにそっくりだった。


 正真正銘、彼女の母親だからなのだろう。

 前世でもやはり彼女がエステレラの母親だったに違いない。


 それにしても、ディー・ハザック・ストレーガ公爵までもが生まれ変わり、あろうことかまたエステレラに付き纏っているのが許せなかった。


 あの男にローアルは二度とエステレラを奪われたくなかった。


 エステレラは、前世で見たこともないほど幸せそうな顔をしていた。


 彼女が幸せそうで、嬉しかった。


 あれから300年以上も、ローアルが忘れられずに想い続けてきた人だから。


 幸せそうな姿が見れて、ローアルもまた心から幸せだった。



 ———だけどエステレラは、ローアルを全く覚えていないのだろうか?


 これからも、思い出さないのだろうか?


 だからと言ってもし運良く彼女が思い出したとしても、ローアルはエステレラに憎まれているかもしれない。


 それでも彼女に好きだと伝えたかった。


 勢い余ってプロポーズしてしまったけれど、そうする以外にエステレラに近付くことなんて思いつかなかった。


 警戒されても、変態だと思われても、頭のおかしい奴だと思われても構わなかった。

 もう守りに入るのはやめようと決めた。

 そのせいで前世で彼女を失ってしまったのだから。


 今度こそどんな手を使ってでも、エステレラの側にいる。


 それだけがローアルの願いだった。けれど。


 本当にローアルを知らない人として接するエステレラを見るのは、想像以上に切ないものだった。


 彼女がローアルのことを忘れてしまったのは、前世での罰なのだろうか。


 彼女を救えなかった罰。

 見殺しにした罰。


 こんなにも求めているのに、彼女は全てを忘れてしまっている。


 本当は心が砕かれてしまいそうだった。


 エステレラに忘れ去られているのは、ローアルにとって身が引き裂かれてしまうくらい辛いことだった。


 だけどもしもエステレラがこの先一生、前世を思い出すことがないのだとしたら、また一から始めるしかない。


 また、出逢いから根気強く始める。


 彼女の中に少しでも…

 ローアルとの新しい記憶が残るように。


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