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現世編/今度こそ①

 


 皇帝を激怒させ、皇宮を混乱に陥れている張本人のローアルは謁見室を追い出された。



 その後、騎士団の宿舎に移動するため、地下の長い通路を歩いていた。


 皇室騎士は皇族の危機にいち早く駆けつける必要がある。

 だから皇族の住まう皇居と騎士団員たちの宿舎とは秘密の地下通路で繋がっていた。


 案内役の騎士団員が暗い通路に魔石で光るランプを掲げて歩いていると横階段からディーが降りて来た。

 魔術師のディーは特別に信頼を得てこの城を自由に行き来できるのである。



 「ディー様?こちらに御用で…?」



 団員が尋ねたところディーはああ、と頷き彼の持つランプの取手を握った。


 「俺が変わろう。…ちょうど騎士団長どのに話があったのでな。」


 「分かりました、では後はお任せして…

 私はちょうど医務室に用がありましたので、

失礼しますね。」


 そう言って頭を下げた騎士団員はディーの降りて来た階段を駆け上がっていった。



 ———暗い通路にディーと、ローアルが対面するような形になる。


 先ほどまで和かだった表情は打って変わり、同じように微笑みを消したローアルに接近する。


 「ローアル。久しぶりだとでも言うべきか。

 お前……前世の記憶を持っているんだろう?」


 冷たい口調で、ディーはローアルに自分の直感をそのまま伝えた。


 「……だとしたら何ですか。貴方もそうなんですよね…?

 ディー・ハザック・ストレーガ公爵。いえ…今はディー・アヴーグル様でしたね。」


 一歩も引けを取らずにローアルは、挑発的な目でディーを睨み返した。するとディーは呆れたようにこめかみを寄せる。


 「…まさかお前まで…ハァ。

 調子に乗るなよ、ローアル。……何を企んでいる…?」


 「企む…?それは貴方では?

 何で貴方がまたエステレラのそばにいるんですか?

 あんなに酷いことをしておきながら……今すぐエステレラの前から消えて下さい。」


 これから殺し合いでも始まるかのような熾烈な睨み合いが続いた。


 ディーは盲目だが、魔力でオーラを感じ取り相手の行動を読み取ることができる。

 まさに何でも見えているような感覚なのだ。


 「…それならお前が消えるべきだ。

 …何を企んでいるかは知らないが…お前の思い通りにはさせないからな。」


 「それはこっちのセリフですよ。

 しかも盲目になったなんて。さんざん罪を犯した貴方にはお似合いですね。」


 「…ふん。お前がそれを言うのか。」


 お互いに殺意を抑えられないほど牽制し合うと、その後ディーとローアルは暗い通路を一言も話さずに歩いた。


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