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現世編/プロポーズは突然に②


 いくら平和だとは言え、私は皇族なので命を狙われる危険は十分にある。


 例えお父様や私が理想の国作りに尽力しているとしても、誰もが同じ方向を向いているとは限らないのだ。

 そんな者を見抜くことも、皇族には必要だ。


 父親譲りの魔力がある私がディーに魔術を習うのも、自分の身を自分で守るため。


 幸いにも人を見る目があると自負していたけれど…


 皇宮内に入り込んだ少年が悪い人には思えなかったし、何かを謀るような目をしているとも思えなかったから、警戒はしなかったけれど…


 ああゆうケースは初めてで、混乱するわ!!



 ——————



 「ローアル・リーベ。そなたの剣術は実に洗練されて見事だった。

 さっそく今より入団し、このレールタ国の皇室騎士団の一員として鍛錬に励むように。」


 「はい。皇帝陛下。誇りある皇室騎士団の一員として、鍛錬に励み、この国の礎となることをお約束します。」


 選抜試合を終えて授与式に移り、1位になったあの少年にお父様が賛辞を呈している。


 …ローアルというのね、あの少年は。


 歳は…私と近いのかしら。

 私はもうすぐ17歳だけれど…ああ、そう言えばそろそろ、婚約者を決めなければいけない時期でもあるわね。


 剣術も洗練されていたけれど。

 お父様に騎士として跪く姿も、洗練されていて美しいわ。


 「それでは、褒美をやろう。

 優勝した騎士へ与えられる勲章と、レールタ通貨のゴールド50枚と…」


 「皇帝陛下。その褒美は何も要らないので…

 一つわがままを言っても宜しいでしょうか?」


 ん…?


 なぜこちらを見るのかしら。しかも顔を真っ赤にして、この上なく幸せそうな顔で…ん?


 嫌な予感しかしないわ。


 「…陛下。わたしを是非、エステレラ様と結婚させて下さい。」



 …褒美が…過ぎない!!?



 あの後、会場がどうなったかというとまあ…

 想像以上だった。

 普段滅多に怒ることがないお父様がキレて、

『娘はまだ嫁にはやらん……!!』と叫んだ。


 その後お父様はローアルに剣を抜きそうになるし、それをお母様が猛獣使いのように必死に抑えるし、会場はどよめくし、湧くし、騎士団は騒ぎを収めるのに導入されるし、試合に負けた騎士候補たちがお祭り騒ぎを始めるしで…


 そして…今に至る。


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