現世編/プロポーズは突然に①
高い背丈に整った顔立ち。
綺麗な銀髪の長い髪を丁寧に束ね、皇族魔術師専用の衣装を着ている。
まだ1年の付き合いだけれど、魔術師としての知識や技術はたいへん高度で、素晴らしい人だ。
また人としても品があり、かつ紳士的で沈着冷静である。
けれどたまに私がこうやって明後日の方向を向けば、厳しい指導をする時もある。
私が恥をかかないように。
時々厳しいけれど本当に…ありがたい師だわ。
広場には試合に向けて身分関係なく、屈強そうな男たちが次々と整列し始めていた。
魔獣討伐にはディーやお父様のような魔力持ちが欠かせないが、強い魔力というものは皇族以外に滅多に発現しないらしい。
けれど、全く皆無でもなく、平民でも稀に魔力を持って生まれる者がいる。
そもそも魔術師になるには魔力を持たないといけないが、わずかに魔力さえ持っていれば強力でなくても魔術で魔物を討伐したり、封印することが可能だ。
だから数少ない魔術師が後方で加護や強化を支援しながら、前方で騎士団員たちが戦うというのがこの国では常識だ。
…けれどいくら魔術師たちに後方で支援されているからとは言え、生身の人間である騎士団員たちに危険が及ぶのはどうしても耐え難い。
魔獣をここまで増やしてしまった亡国トルメンタ女皇帝に、文句の一つも言ってやりたいけれど。
もしお父様がお母様以外の愛人を作って傾国しようものなら、私が黙ってないわね。
…って。
今も変わらずお母様を溺愛しているお父様が、そんなことする筈がないのは分かっているけれど。
試合を観戦するために皇族席に座る二人を見ていると、こちらが目を背けたくなるほどお父様がお母様にベタベタひっついているのが分かる。
うちの両親って…見ていてこっちが恥ずかしいわ。いつもラブラブすぎて。
私もいつか…あの二人のように愛する人に出会えるかしら。
「…皇女さま、どちらに?」
「試合が始まるまでもう少しあるでしょう?
薬を飲んでくるわね。…心配しないで。」
席を立った私にディーは、御意と頭を下げた。
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私には物心ついた時からひどい頭痛がある。
医師が言うには生まれ持った体質だというけれど。
こうして時々激しく痛むことがある。
今日は大丈夫だと思っていたけれど…少しまずい気がし始めたので、念のためだ。
自室に薬を取りに向かうと、中庭の白い噴水の前に一人の少年が佇んでいるのが見えた。




