8.始まりの町
前回のお話。
無事、能力を発動できた俺は、学園を卒業した。
結衣と一緒に、近くの町を目指し出発した。
町に着いた。
鮮魚、果物、服、宝石……。
いろんな物があるな……。
「ようこそ、始まりの町カストラへ」
始まりの町。
学園を卒業した者達が、始めて訪れるって事かな。
だからこんなに店があるのか、これが普通なのか。
俺には分からない。
「疲れたー! 麻陽、どこかで休もう!」
結衣はベンチに座り、だらけていた。
「そうだな、喉も渇いたし、とりあえず食事ができるところを探すか」
「それなら、レストランモンテルがおすすめ」
振り返ると、そこには天パで、茶色の髪の毛の女の子がいた。
「かわいい! お名前は? 何歳?」
「私は知星、六歳」
「知星ちゃん、レストランモンテルはどこにあるの?」
「そこの魚屋さんを右に曲がって、突き当たりを左に曲がって少し登ったところ」
結衣の頭の上に、はてなが見える。
絶対分かってないやつだ。
「もしよかったら、案内してもらってもいい?」
……やっぱり。
「いいよ。二名様ご案内」
「ありがとう!」
――――
俺達は、知星に案内してもらい、レストランモンテルに着いた。
緑色の屋根、少し汚れた白い壁。
昔ながらのレストランって感じかな。
中に入ると、お客で賑わっていた。
「着いたー! 知星ちゃんありがとう!」
結衣は知星の頭を撫でた。
天パだからか、もふもふしていそうだ。
「メニュー持ってきます」
知星は、嬉しそうな顔で厨房の方に向かった。
ここの従業員だったのか?
「メニューをどうぞ」
「知星ちゃんってここで働いてるの?」
「うん。決まったら教えて下さい」
知星は、また厨房の方へ向かった。
メニュー表を見ると、様々な料理がある。
アルコール、ジュース。
オムライス、寿司。
餃子、ハンバーガー。
誰が食べに来てもよさそうな料理ばかりだ。
たくさんあったが、俺達はすぐに決まった。
「すみませーん! 注文お願いしまーす!」
「はーい」
知星の声が聞こえた。
とことこと駆け足で、俺達のテーブルに来た。
「私いくら丼!」
「俺はえび天うどん」
「かしこまりました。お待ち下さい」
「麻陽、うどん好きなの?」
「暖かいうどん食べると、ほっとするんだよ。あと、ふにゃっとしたえび天が好き」
「サクサクの天ぷらじゃなくて?」
「そう、汁吸ってるのが俺のベスト。結衣はいくら好きなの?」
「うん! 私、小さいとき体が弱くて寝てばかりだったの。元気になって、外で始めて食べたのがいくら丼だったんだ。それから大好きになっちゃって」
「寝てばかりだったんだ」
「医療術師を呼んだ事もあったんだけど、なかなか治らなくて……。でも元気になれたから、私もいろんな人を元気にしたい!」
「意外と考えてたんだな」
「ちょっと、どう言う意味?」
「そーいや、いくらって痛風になりやすいんじゃなかったっけ?」
「のんのんのん、いくらはそんなには大丈夫」
結衣は人指し指を左右に振った。
「痛風の医者かー」
「だっておいしいじゃん! まぁ、ご飯のお供が好きなんだけどさ。いやご飯が好きなのかな」
「いやもう、調理師になれば?」
「お待たせしました。えび天うどんと、いくら丼です」
「美味しそう! いただきます!」
近くに鮮魚屋があったからなのか、えびがぷりっぷりだ!
「いくらぷっちぷちで、すごい美味しい! 見て! 輝いてる!」
「あんまり興奮すると詰まるぞ」
「だってこのいくらっ……!!」
「おい!」
本当に詰まらせやがった!
俺は結衣の背中を叩いた。
「……ありがとう。ちょっと危なかった」
「しっかりしてくれよ……」
「お水どうぞ」
「ありがとう知星。騒がしくてごめんな」
「みんな楽しんでるの嬉しい。きいも喜ぶ」
「きい?」
「うん、私の家族。料理長」
「おぉ! じゃあお父さんか!」
「ううん、双子のきい」
俺は飲んでいた水を噴き出した。
「はっ!? 六歳で料理長!?」
「うん。きい、すごいの」
このレストランの料理長って事だろ?
すげぇな、どうなってんだ?
その時、入り口がいきなりぶっ飛び、レストランが一部壊れた。
なんだ!?
「美味しそうな匂いがする~」
誰だ……女の子……?
誰かを探している?
女の子は、俺達の方を見て不気味に笑った。
「みぃぃつけたぁぁ~」
狙いは俺達……!!
「結衣!」
「知星ちゃん! こっち!!」
女の子は、鋭い爪で俺に襲いかかってきた。
床に穴が開いた。
「結衣! 外に出るぞ!」
このままじゃ、レストランが壊れる!
急いで外に出て、戦闘態勢に入る。
いつでもこい!!
「私お腹が空いてるのぉ。早く食べたぁい」
女の子が飛びかかってくる。
「炎!」
「ぎぃやぁぁぁぁぁぉぉぉぉぁぁぁぁ!!!!」
効いてる!
黒い血が飛び散ってる。
やっぱりギーラか。
ギーラは全身燃えていた。
「元気回復!!」
結衣は、負傷者の回復をしているようだ。
あっちは任せて、俺はギーラ退治だ!
怒ったギーラの両爪が伸びていく。
一メートルくらいか?
「切り裂く!」
ギーラの爪が、上から切りかかってくる。
「あぶねっ!」
ギーラは攻撃の手を止めず、襲いかかってくる。
あの爪、厄介だな。
……そして、避けているうちに、逃げ場のない細い道に入った。
「やべっ!」
ギーラは勝ち誇った笑みを浮かべ、一気に畳み掛けてきた。
ひっかかったな。
「炎!」
俺の炎は、周りに撒き散らす事もなく、一直線にギーラへ降り注いだ。
さて、終わりかな?
そう思っていたら、まだ生きていたらしく、炎の中から爪が勢いよく飛び出してきた。
片方の手の爪は避ける事ができたが、もう片方の爪はかすってしまった。
「いてっ!」
さっきと爪の長さが違ったせいで、避けきる事ができなかった。
「まだ爪伸びるのかよ」
俺は次の技を出そうとした。
しかし、急にめまいがし、呼吸がしにくくなる。
「私の爪、毒まみれなのぉ」
まじか……。
そこまで考えてなかった……。
「もう邪魔しないでね~」
次回。
知星は能力者!?
俺がプロポーズ!?




