54.食
前回のお話。
俺達は、ギーラの肉だと知らずに食べてしまい、その場に倒れた。
目が覚めると、俺は何かの液体の中だった。
ガラスの筒のような物に入っていた。
口には酸素マスクのような物がついていた。
隣を見ると、密ちゃんも同じ状態だった。
他のみんなは?
考えられない……。
……誰かが目の前に来た。
「滑稽だな」
そこには結月さんがいた。
でも中身はボスだ。
ボスが体を乗っ取っている。
「お前はギーラと人間のハーフ。だから生き延びたのだろう」
その流れだと、密ちゃんはワクチンを持っているから無事だったって事?
「隠」
周りが暗くなる。
「鎖鎌!」
密ちゃん!
「結界」
ボスは密ちゃんの攻撃を簡単に弾いた。
え、じゃあ隣にいる密ちゃんは!?
「お前が考えそうな事だな。こっちの液体に入っているのが分身。私が攻撃をよければ、麻陽のガラスが割れる」
密ちゃんは無言で刀を抜いた。
「私には結界が使える。そんな物は通用しない」
ボスは鼻で笑った。
「はぁっ!」
密ちゃんは、刀でボスと戦っていた。
「弱い弱い弱い弱い!!」
「っあっ!」
密ちゃんの攻撃は、ボスの結界で全て弾かれてしまった。
「くそっ……炎」
だめだ力がでない。
この液体のせいか……?
このままじゃ、密ちゃんが。
「いい事を教えてやろう」
ボスは指を鳴らした。
すると、奥の扉が開いた。
誰かが歩いて来る。
!?
嘘だろ……。
そこにはギーラに変化した、結衣、稀星、颯がいた。
颯!
お前もハーフだろ!?
なんでそんな姿に……!
「お前にこいつらが倒せるかな?」
「貴様ぁぁぁぁっ!!」
密ちゃんはぶちギレていた。
ボスに向かって、飛びかかる。
結界で弾かれそうになるも、そのまま刀を突きつけていた。
「結界が破れるか、刀が壊れるか、どっちが先かな」
ボスはにやにやしていた。
優越感に浸っている感じだ。
このままだと、刀が壊れる前に密ちゃんの手が壊れてしまう。
「ふっ……ははははははははっ!!!!」
ボスは勝ち誇ったように笑っていた。
!!
急に、俺と密ちゃんのガラスが割れた。
「げほっ……!」
呼吸がしにくい。
でも、頭が冴えてきた。
「お前!」
そこには、密ちゃんがもう一人いた。
ガラスに入っていた、ボスと戦っていた、ガラスを割った、合計三人だ。
「炎!」
「くそっ! 結界!」
俺の攻撃は弾かれた。
「ぁぁぁがぁぁぁぁあああ!!」
まずい、結衣達をなんとかしないと!
「樹氷!」
結衣達は、みんな凍りづけになった。
「麻陽!」
「寧々!」
「ぶっ飛ばして行くわよ!」
「なんでお前が! 操作!」
ボスは寧々を見て、顔色が変わった。
「防御!」
「防御!」
「激しく!」
「がぁぁぁぁっ!!!!」
「響!」
「休んでる暇ないよ」
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!!!!!!」
「ボスめっちゃキレてんじゃん」
寧々は、冷静に言った。
「でも、なんでここに?」
俺は寧々に聞いた。
「密ちゃんの分身が案内してくれたの」
「え!?」
て事は四人!?
「あの感じ、乗り移ったけど自分の体じゃないから、同時に能力は使えなさそうだね」
確かに。
結界と、操作を同時に出していなかった。
「開放!!」
ボスがそう言うと、立っていられないほど地面が揺れた。
「うわっ!」
建物が崩れていく。
「えっ! ちょっと! ひゃっ!」
寧々は尻餅をついた。
「建物が!」
本当に崩れる!!
周りが真っ暗になった。
そして真っ暗になったと思ったら、すぐに明るくなった。
ここは、さっきの村!
「きゃぁ!!!!」
村の人達がパニックになっている。
ボスは、宿の女性をにらんでいた。
「わ! 私はやりました! 言うとおりにしましっ……!」
ボスは、手で払いのけた。
女性は、血まみれで倒れている。
「ぁ……ぁぁぁ」
倒れていた女性の髪の毛をひっぱり、持ち上げた。
そして食べた。
女性はやっぱりギーラだったんだ。
ここの村人は、ボスの仲間だった。
「まずい! ここのギーラを全員食べられたら!」
「えっ! ギーラなの!?」
寧々は驚いていた。
「炎!」
「激しく!」
「氷塊!」
「全然当たらない!」
寧々はあせっていた。
「きっと結界だ!」
響は言った。
「あれっ? 密ちゃん!?」
密ちゃんは、地面にしゃがみこんでいた。
分身を吸収し、一人に戻っていた。
「密ちゃん!」
俺はかけよった。
「麻陽さん……」
顔色が悪い。
「大丈夫!?」
「ちょっと、体内にギーラを入れすぎたみたいで、解毒に時間がかかっています……」
「ここで休んでて。颯達を頼んだ」
「はい」
「麻陽!! 早く!!」
響が叫んでいる。
「ふはははははははははははっっっっっっ!!!!!」
ボスの口、手、服は、血まみれだった。
いったい何人のギーラを食べたんだ。
「操作」
周りのギーラが、俺達を攻撃してくる。
その時、空から誰かが降ってきた。
「深紅の剣!」
結界を切った!
「紺碧の鼓動!」
「あぎぃあああああああ!!!!!!」
茜さんと、空さんが刀で戦っている。
すごい!
いけるぞ!
「結界!!」
ボスは、手からボール状の結界を出していた。
「このっ!」
空さんは、刀で受け止めていたが、結界はそのまま刀を通りすぎ、空さんの体に穴を開けた。
「ぐぁ……!!」
「空!! こんの野郎!!」
茜さんは、ボスに飛びかかり刀を振り下ろした。
!!
ボスは大きな口を開け、結界を大砲のように出した。
茜さんの頭はぶっ飛んだ。
元ギーラなら、石さえ破壊されなければ生きてるはず……!
しかし、ボスは茜さんと空さんを食べた。
ボスの体に吸収されていく。
特例隊は全滅してしまった。
まずいまずいまずいまずい!!!!
あんなの出されたら即死だ!
ボスはこっちを見て、にやりとした。
そして、口を大きく開けている。
くる!!
「吸収!!」
っつ!!
でかい!!
でも、いける!!
俺は、結界を吸収した。
「白魔!!」
「レクイエム!!」
寧々と響はボスと戦っているが、効いていなかった。
「破壊」
!!
立ち上がれない!
「ひれ伏せよ、下等人間」
「寧々さん! この氷溶かして下さい!」
密ちゃんが叫んでいる。
「でも!」
「早く!」
ボスが密ちゃんをにらんでいた。
まずい、密ちゃんが殺られる!
「解!」
寧々の言葉で、氷が溶けた。
氷の中にいた三人が動き出した。
「いけっ!」
密ちゃんはなにかを三人に投げた。
何かが刺さっている。
注射?
「ワクチンを打ち込みました! すぐ元に戻るはずです!」
それまで、防御で守らないと!
だが、遅かった。
ボスはすぐに移動し、三人を食べてしまった。
次回。
密ちゃん、自分のお腹に刀を刺す。




