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53.食べ物の町

前回のお話。


(あかね)さん、(そら)さんはいなくなった。

俺達は新たな情報を探す為、再び動き出した。

 ひとまずギーラはいなくなったので、俺達は近くの町で、宿を探す事にした。


 食べ物の町、イートアドラー。


 ここはギーラの被害はなかったのだろうか。

 とても賑わっている。



「いらっしゃい!」


 露店の男性が話しかけてきた。



「こんばんは。どこかに宿はありますか?」


「宿! もちろんあるよ! おーい!」


「どしたー!?」


 男性は、遠くにいた男性に話しかけていた。



「宿を探してるとさー!」


「了解だー!」


「ついて行ったらいいよ!」


「ありがとうございます!」


「これ食べてきな!」


「え! ありがとうございます!」


 俺達は焼き鳥をもらった。


 遠くで男性が手招きをしている。

 俺達は走って向かった。



「よろしくお願いします」


「おぅ! それ食べながらついてきな!」


「はい!」


 俺達は食べながら歩いた。



「お客さんかい!?」


「あらあら、たくさん! これも食べていってー」


「私のも食べていきなさーい」


「宿探しのお客さんだ! みんな、何かあげてやんなぁ」


 周りの店の方や、通行人の方にまで、たくさん食べ物をもらってしまった。



「こんなにもらっちゃって嬉しいね」


 結衣(ゆい)は言った。



「あなたね、『こんなにもらっちゃって』に続く言葉は『申し訳ないね』とか『悪いね』とかよ」


 稀星(きせ)はつっこんだ。



「まぁ、悪い気はしないよなー」


「坊っちゃん、羽目をはずさないようお気をつけ下さい」


 みんないい人でよかった。

 でもアミナスだと知ったら怒るだろうか。



「おーい! お客さんだー!」


 男性は、遠くにいた女性に話しかけていた。



「はぁーい! こっちにいらっしゃーい!」


「ありがとうございました!」


 俺達は、男性にお礼を言い、女性の元へ向かった。



「いらっしゃぁい! ここで寝泊まりするといいわよぉ!」


 くるくるした髪の毛の女性は、ゆっくりな口調で言った。



「ありがとうございます」


 部屋を案内されたが、大部屋しかなかった。



「ごめんなさいねぇ、うちは宴会とかが多いから、大部屋しかないのよぉ」


「いいえ! ありがとうございます!」


「お料理たくさんあるから、後で食べにきてねぇ!」


「はい!」


 女性はいなくなった。



「私は結衣(ゆい)と寝るわよ」


 稀星(きせ)は腕を組んで言った。


「えっ!」


 結衣(ゆい)は驚いていた。



「え? いや男じゃんか」


 俺はつっこんだ。



「あなた達がこっちにこないように!」


 稀星(きせ)は、俺と(はやて)を指さした。



「私は坊っちゃんと寝ます」


「え! いいよ! 密!」


 (はやて)はあせっていた。



「お前、一緒に寝てんだな」


「うるさいなぁ!」



麻陽(あさひ)、やめなさい!」


 結衣(ゆい)は少し怒っていた。



「でも、密ちゃんと(はやて)が一緒に寝たら、結衣(ゆい)稀星(きせ)と二人だけどいいのか?」


「えっ……そ、そりゃ大部屋だし、大丈夫よ!」


「大丈夫、私は既婚者だから」



「あぁ! 前に寝てたし大丈夫だな!」


「え?」



「そうよ。宝石の町で一緒に寝たわ。まぁ、ちいも一緒だったけど」


「ふぁっ!」


 結衣(ゆい)は思い出したみたいだ。

 顔が真っ赤になっている。



「大丈夫よ、今さら」


「うううう浮気になる! 稀星(きせ)ちゃん! これ浮気よ!」


「はぁ?」


「私、美雪(みゆき)先生に殺されちゃう!」


「あなたは本当にばかね。じゃあ誰と寝るのよ」


「えっ……」


「ん? 俺か?」


「誰が麻陽(あさひ)なんかと寝るのよ!!!!」


 結衣(ゆい)は真っ赤な顔をしていた。



「あぁぁあー」


 稀星(きせ)は俺を見て言った。



「いや、稀星(きせ)が悪いだろ!」


 ドアをノックする音が聞こえた。



「ご飯の準備できていますので、いつでも来てくださいねー」


 女性は言った。



「はーい」


「じゃあ、食べに行くか!」


 俺達は、部屋を出た。





 フロアーには、食べ物がたくさん並べてあった。



「あらあら、お客さん。眺めていたら冷めちゃうので、早くお召し上がり下さい」


「あっ、すみません。いただきます!」


 俺達は、大量の肉やスープを食べていた。



「柔らかぁー」


「坊っちゃん、お口についていますよ」


「密、ふいてー」


「はいはい」


 おいおい。


 結衣(ゆい)も黙々と食べている。



「お口に合いますか?」


「すみません、こんなに準備してもらって」


 ものすごい量だ。

 こんなに食べれるかな。


 ただ……野菜が少ないな。

 肉ばかり。

 俺は嬉しいけど。


 稀星(きせ)の方を見た。

 何か考えているようだ。



稀星(きせ)どうした?」


「うん……。この量、私達が着いてから始めたら、作れない量よね」


「確かにな」


「私達が来る事を知っていたら別だけど……」


「えっ……」


 一気に緊張が走る。



「なんだか変わった味もするのよ。いろんな肉を食べてきた事があるけど、初めての味」


 料理人だから、味の違いには敏感だ。



「あの!」


 稀星(きせ)は、女性を呼んだ。



「この肉は何の肉ですか?」


 女性は時計を見た。



「猪よ」


「えっ、どう調理しているのか教えてくれませんか?」


「……それは秘密」


 なんだか怪しい。


 女性はまた時計を見た。



「何かあるんですか?」


 俺は女性に聞いた。


 すると、女性はにこっと笑った。



「早くあなた達がギーラにならないかと思って」


 えっ。



「出して! 口に入ったもの全部!」


 稀星(きせ)は立ち上がり、叫んだ。



「もう、遅いわぁ! あはははははっ!」


「あっ……がっ……」


「坊っちゃん! ……っ」


 (はやて)は苦しみ始めた。


 密ちゃんは倒れた。



「あっ……ぎっ……ぁっ」


 稀星(きせ)は首を抑え、倒れた。



「ぐっほぉぁっ……」


 結衣(ゆい)は、体の一部が変形している。



「あぁぁぁぁ……痺れるわぁぁぁぁ。こんなに食べてくれるなんて!」


 女性はうっとりした顔だった。



「ぐっ……」


 まずい、俺も……。



「あなた方が食べたのは、ギーラのお肉よっ!」


 女性は笑っていた。


 俺達は自ら、ギーラを体内に入れてしまった。

 ギーラになるって事か……。


 町の人はみんなグルだった。

 いろんな人に、客と言いふらし、準備を進めていた。


 町のみんなは全員ギーラなのか?

 だから、この町にはギーラがいなかったのか?

 でもみんなしゃべっていた。


 ……俺は、もう考える事ができなくなり、その場に倒れた。

次回。


ボスと戦う。

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