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52.特例隊

前回のお話。


ボスの手がかりを掴む為、ギーラを倒しながら旅をしていた。

 ざっと百体くらいは倒しただろうか。



「ぎぃぃぃぃぇえええええ!!!!」


「どんだけいるんだよ」


 倒してもキリがない。



雷雨(サンダーストーム)! えっ!?」


つむじ風(ダストデビル)! まじか!?」


 稀星(きせ)(はやて)は技が出なかった。

 枯渇だ!



(ブレイズ)!」


(プワゾン)!」


 俺と結衣(ゆい)も出ない!



「私はまだ戦えます」


 密ちゃんは刀を構えた。



「俺だって、薙刀(なぎなた)がまだある!」


 大丈夫、まだ戦える!

 弱いギーラしかいない!



「行くぞ!!」


 俺は戦いながら考えていた。

 これから強いギーラが来たら、戦えるのだろうか。

 きっと、ボスはどこかで見て笑っている。

 負けない!



 ……ギーラが減らない。

 いつまで続くんだ。


 めまいがする。



麻陽(あさひ)!」


 結衣(ゆい)の声が聞こえる。


 ギーラだ!



「ぎぃぃぃぃっっ!!!!」


 目の前にいたのに気づかなかった!

 集中力が……!


 まずい、殺られる!



深紅(しんく)(つるぎ)


 空から声が聞こえた。


 あれだけいたギーラが、一瞬で倒れた。

 あの女性は誰だ?


 女性は降りてきた。



「大丈夫?」


「はい。あなたは?」


「あれっ、何も聞いてない?」


 なんの事だ?



希夜(きよ)理事長の旦那さんの、踟夕(ぢゆう)会長の指示により、ババン! と登場。特例隊の、(あかね)でっす!」


 目元でピースをして決めていた。



「……はい」


「ちょぉっと、反応薄いわねー。特例隊は結界の能力と、別の能力の二種類を保持しているアミナスなのよ!」


「二種類! すごい!」


 結衣(ゆい)は、拍手をしていた。



「そう! その反応よぉ!」


「おばさん、とりあえずありがとう」


 (はやて)は、さらっと言った。



「おばっ!? まぁまぁまぁまぁ、あなたから見たらおばさんかもしれないけど、これでも22歳のお姉さんんん!?」


 (あかね)さんの指輪が鳴った。



「変な穴見つけたから来て」


 男性がしゃべっていた。



「穴ぁ? 分かった、今行く」


「俺達も行きます!」


「だめだめ! 私達の仕事だから!」


「その穴、前に見たことがあるんです」


 前は、密ちゃんが開けた穴だった。

 今回の穴は?



「……分かった」


 俺達は一緒に向かった。


――――


(そら)!」


(あかね)! ここ!」


「おまたせ! これがその穴?」


「そう。その子達は?」


 男性は俺達を見ていた。



「……さぁ?」


「は?」


「あ、俺は麻陽(あさひ)と言います! みんなルークス学園から来ました」


「まぁ、いいや。ここなんだけど」


 地面に穴が開いている。



「石を落としたりしたんだけど反応なし。待っている間は、特に何もなし。入るには危険すぎる」


「人が通れる大きさだね」



「ちょっと失礼」


「密?」


(おん)


 周りが真っ暗になった。

 密ちゃん、何をしているんだろう。



「解」


 周りが明るくなった。



「密、何か分かった?」


 (はやて)は聞いた。



「外にいるギーラは、この穴から出てきています。おそらく、この穴はボスの元に繋がっています」


「だったら、行こう! あ!」


 穴が消えた。



「どういう事?」


「気づかれたから閉じた?」


 (あかね)さんと(そら)さんはそう言うけど……多分違う。



「反応を見てるんだよ」


 (はやて)は言った。



「は?」


 (そら)さんは不思議そうな顔をしていた。



「ボスがそんな事する訳ないじゃん」


 (はやて)は腕を組んで言った。



「なんで分かるんだよ」


「俺達は、以前ボスと戦っているんです」


「えっ! なんで負けたのよ!」


(あかね)、それは弱かったからだよ」


 !!



「ちょっと、あなた達に何が分かるのよ」


稀星(きせ)ちゃん!」


 結衣(ゆい)稀星(きせ)をなだめていた。



「分からない。ボスは生きている。それが事実」


 (あかね)さんは淡々と言った。



「あなた達はその時、何をしていたのよ!」


「分からないわ」


「どういう事?」


「俺達は作られた人間だ」


「作られた?」


「能力を二つ与えられ、ギーラを倒す為だけに作られた。元ギーラだ」


「なっ! なんでそんな事!」


 稀星(きせ)は驚いていた。



「実験台さ」


「実験台……」


「ギーラとしての戦闘力を持ったまま、どこまで人間に近づけるか。どれだけ能力を与える事ができるか」


「安心して! こうして外に出れたのも、安全と判断されたからよ! 食品にもあるでしょ! なんちゃらマーク!」


 俺達は何も言えなくなってしまった。

 だって、(はやて)も実験台だったから。



(あかね)がアホな事言うから、みんな凍っちゃったし」


「いや、ギャグとか言ってないし!」


 (はやて)(そら)さんの前に立った。



「ん? 何?」


「俺も元ギーラなんだ」


「えっ!?」


「でも、俺は逆。元は人間。実験台として生き残ったハーフ」


「ハーフって事は失敗って事?」


 (あかね)さんは聞いた。



「……さぁね。でも成功していたら、人間には戻れなかったかも」


「ギーラの方が戦闘能力も高いのに」


 (そら)さんは言った。



「……俺はどんな実験をしてきたか覚えてる。急に連れ去られて、周りの子が次々に死んでいく。ギーラの世界でも、人間の世界でも、同じ事が起きていたなんて」


 (はやて)は悲しそうな顔をしていた。



「そんなのどこの世界も一緒よ」


「そうだな。動物実験をして我々は安全に生きている」


 (あかね)さんと、(そら)さんは、ポジティブな感じの考えだ。


 でも、考え方を変えると、恐ろしい。

 生きる為なら、他の物は……みたいな考え方だろうか。



「この穴、いろんな場所にあるらしい。もしかしたら、他の穴も閉じた可能性がある」


「神出鬼没ってやつね」


 (あかね)さんと(そら)さんは動きだした。



「どこへ行くんですか?」


「別の場所」


「ここにいたって仕方ないし、穴も出たりなくなったりするなら何もできないし。じゃあねーん」


 二人はいなくなった。



「あの人達、イライラしかしなかったわ」


稀星(きせ)ちゃん、落ちついて」


 結衣(ゆい)はまだなだめていた。



「あなたね、あんなのにへらへら笑ってたって意味ないのよ!」


「まぁ、俺達は俺達で手がかりを探そうぜ」


「兄ちゃん、珍しく大人じゃーん」


「いつもですー」



 そう、俺達は俺達のやり方で。

次回。


おもてなし。

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