51.花音先生
前回のお話。
副理事長の放った矢が、結月さんの足に命中した。
「結界」
結月さんは結界で止血した。
「リターン」
結月さんがそう言うと、周りが暗くなった。
「エンド」
その言葉を最後に、結月さんは消えた。
「結界師の方々、急いで学園に結界を張って下さい!」
副理事長は指輪に向かって話していた。
「あぁー!!」
結衣は叫んだ。
俺は、結衣が見ている方を見た。
「え!」
俺は驚いた。
「あぁー!!」
颯も叫んだ。
「あらまぁ……」
密ちゃんも驚いていた。
「みんなどうしたの?」
稀星だけが分かっていない状態だった。
「稀星ちゃん……見て」
結衣は鏡を渡した。
「え? ん!? は!? えぇ!? なんで!」
稀星は、また子供の姿になっていた。
「大丈夫! 任せて! 復元!」
結衣は言った。
「戻っ……てない!」
結衣は目が大きくなっていた。
「嘘! なんで!?」
稀星は叫んだ。
稀星の指輪が鳴る。
「きい!」
「ちい!?」
「きいも!?」
「ちいも!?」
どうやら知星も子供の姿になってしまったようだ。
ここにいなかった人にも影響が出ている。
「あの女性、『リターン』と言っていましたね」
密ちゃんは考えていた。
「リターンとは、戻ると言う意味です。もし数年前に戻せる能力だとしたら」
「数年前は、姉ちゃんの能力もまだそこそこだからって事?」
颯も考えていた。
「えっ……て事は……炎!」
出た!
「チェンジ!」
……何も起きない。
「まじか……」
『炎』は使えるけど『チェンジ』は使えない……。
「あぁー!」
「颯!?」
「俺の身長、低くなってる!」
「は?」
「密! 俺また子供になっちゃった!」
「かわいそうな坊っちゃん……」
「いや、たいして変わらねぇし子供だし」
「そんな事言っていいんだ? 俺は天才だから、ほとんどの技は使えるよ」
「私も問題ありません」
「あ! 目薬がない!」
俺はポケットを探した。
「それすらなかった事になるの!?」
結衣は言った。
「ぁぁっ!!」
「坊っちゃん!?」
颯は、目を押さえてしゃがんだ。
「もしかして! ハーフに戻った!?」
俺は颯を見て言った。
「坊っちゃん!」
密ちゃんは、颯にサングラスを渡した。
なんで持ってんのさ。
「密、ありがとう……」
「メイドですから」
「お姉ちゃん……」
結衣は呟いた。
「とりあえず、理事長室に行こう」
俺達は移動した。
――――
俺達は、理事長に全て伝えた。
「おそらく、結月の体に毒が回る前に、ボスが体内に潜り込んだのだろう。解毒をし、ギーラにする事により操っている」
理事長は言った。
「ボスは生きていて、あれはボスって事ですか?」
「おそらく……ただ、結月は結界能力が高い。まだ生きている可能性もある。でも、それを見極めるのは難しい」
「お姉ちゃん……」
「結衣は、この戦いから抜けた方がいいだろう」
「できます!」
「自分の姉と戦えるのかい?」
「戦います!」
「判断を間違えれば、周りが死ぬかもしれない。少しでも疑念があれば、やめた方がいい」
「……」
結衣は黙ってしまった。
ドアをノックする音が聞こえる。
「入りな」
そこには副理事長がいた。
「失礼致します。花音先生の意識が戻りました」
先生!
よかった!
「そうかい……」
理事長は、安堵の表情だった。
「みなさん、面会されますか?」
「はい!」
俺達は、副理事長と一緒に花音先生の所へ向かった。
――――
「失礼致します」
「どうぞー」
「先生!」
「おぉ、みんな!」
花音先生は、ベッドに横になりながら手を振っていた。
「先生、無事でよかったです!」
「みんなも無事でよかった」
笑ってはいるけど、元気にみせているだけだ。
つらそうだ。
「あのっ」
「だいたいの事は分かってる。だから、私の事も話すね」
先生は話し始めた。
学園内で負傷者が複数人出た為、双子を探していた。
一生さんと遊んでいた双子を見つけた。
安全な場所へ移動するように伝え、その場を離れようとしたとき、一生さんが血まみれになり倒れた。
急いでかけより、救護班を呼んだ。
双子を安全な場所へと思い抱っこをすると、目の前に結月さんが現れた。
次の瞬間、双子の雷の能力で攻撃をされ、結月さんにも攻撃をされ、意識を失った。
そういえば、救護班が到着する前に、副理事長が到着したが、誰もいなかったと言っていた。
救護班が到着したときには、一生さんは手遅れだった。
「ボスは生きてる」
花音先生は、真剣な顔で言った。
「結衣さん、回復をお願いできますか?」
副理事長が言った。
「はい! 元気回復!」
花音先生の傷が消えていく。
「ありがとう! 結衣! いてっ!」
やっぱり、能力の精度が落ちている。
「ごめんなさい……」
「結衣、それは何に対して?」
「……」
「大丈夫だよ」
花音先生は立ち上がり、結衣を抱きしめた。
「気にしなくていい、結衣のせいじゃない」
「ごめ……んなさ……い……」
「大丈夫、一人じゃない」
結衣は声をあげ、たくさん泣いていた。
――――
「じゃあ、先生いってきます」
「みんな、気をつけてね」
「はい!」
結衣はもう大丈夫そうだ。
俺と結衣、颯と密ちゃん、そして稀星はボスの手がかりを掴む為、また一緒に旅を始めた。
颯はまたコンタクトにした。
ギーラが増えてきている。
俺達は、歩いて手がかりを探す事にした。
「急いで倒そう。町にも寄って情報収集。何もなければすぐ移動」
「分かった!」
結衣は大きな声で言った。
「私達は、あの頃に戻ったかもしれない。でも知識量はあるわ。戦いの初心者じゃないから大丈夫」
「……稀星、またそのしゃべり方にしたんだな」
「この姿だからね」
「俺より小さいねー」
「颯はずっと小さいでしょ」
「坊っちゃんの器は大きいですよ」
「密、フォローになってない」
「けんかしない、けんかしない」
結衣は、二人をなだめていた。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
遠くから、たくさんギーラが来る。
「よっしゃ! 行くぞ!!」
次回。
穴を見つける。




