49.気配
前回のお話。
響は、ボスの心音に近い音が聞こえると言っていた。
新たな情報を得る為、俺と結衣は再び旅にでる。
「いた!」
ギーラの残党が逃げている。
「炎!」
「ぁぁっっっがぁぁぁぁ……」
これで何体目だろう。
前より増えている気がする。
たまたま、このあたりに密集しているだけなのか。
もし、密集しているのであれば、その理由は?
「ねぇ、なんで弱いギーラが生きてるのかな」
結衣は言った。
「そりゃ、穴開いたときに結構出てきたからな」
「ある程度いるのは分からなくもないんだけど、強いギーラに会わないよね」
確かに。
みんな、言葉を話せないギーラばかり。
頭がいいから隠れている?
それとも何か考えている?
「あれっ、ギーラって襲いにくるよな? 今のギーラ、逃げて……」
突然、地面が動きだした。
「地震!?」
「防御!!」
違う、地震じゃない!
俺達の、周りの地面がめくり上がった。
そして、閉じ込められてしまった。
「きゃはははは! 全然弱いじゃない!」
外で女の子がしゃべっている声が聞こえる。
どこかで聞いた事あるな……。
隙間から光りが漏れている。
俺は覗いてみた。
……見えない。
「ロッチャ! そのまま連れて行くよ!」
ロッチャ!
そうだ、胡桃だ!
「うわっ!」
振動がすごい。
どこに連れていかれるんだ。
「この狭い空間で、技を出すのは危険だな」
「どうしよう……」
俺と結衣は動く事ができなかった。
「隠」
急に周りが暗くなった。
「さっきの声、もしかして!」
結衣は嬉しそうな声で言った。
「かまいたち!」
「きゃっ!」
周りが明るくなってきた。
「よぉ! 兄ちゃん! 姉ちゃん!」
「颯!」
「颯君!」
「鎖鎌!」
密ちゃんが、ロッチャと胡桃を拘束した。
「胡桃、何考えてんのか知らないけど、やめときなよ」
颯は言った。
「あんたに関係ないだろ!」
「ん? その小さい脳ミソで何を考えてるんだ?」
颯は、胡桃の頭をわしづかみにした。
「いててててて!!」
「坊っちゃん、相手にするだけ時間の無駄です。殺りましょう」
密ちゃんは、刀を抜いた。
「ちょっ! ちょーっと待った!」
胡桃は焦っていた。
「ん?」
「私を殺したら分からなくなるよ!」
「何が?」
「ボスの居場所」
「ボスの居場所!?」
俺は、大声を出した。
「生きてるの!?」
結衣は驚いていた。
「さぁ、どうでしょう」
胡桃はにやりと笑った。
「やっぱり殺りましょう」
密ちゃんは再び刀を向けた。
「ひぃーーーーーー!!!!」
「密!」
――――
俺達は、胡桃を囲むような形で立っていた。
「で? 居場所は?」
颯は、腕を組みながら言った。
「……知らない」
「は?」
「知らないってば」
「そりゃないだろ」
「でも生きてる事は分かるわ!」
「なんで?」
「気配を感じるから」
「じゃあ場所分かるじゃん」
「あ……」
しまったって顔してるな。
そうだ、この子もアホな感じだった。
「嘘じゃないわ! 一つじゃないから分からないもん!」
「ちょっと待てよ。一つじゃない?」
俺は胡桃に聞いた。
心臓が速くなってきた。
「えっ、何人もいるの!?」
結衣も驚いている。
「場所は?」
密ちゃんが刀を向ける。
「あっちに二つ、残りはあっち!」
三人!?
……ちょっと待て。
「あっちはルークス学園だ」
そのとき、指輪から信号が入った。
「緊急! 現在、ルークス学園にて、死亡一名、重体一名、軽傷数名。犯人は逃走中。現在、犯人特定に時間がかかっている状態です。アミナスのみなさん、気をつけて下さい!」
美雪先生の声だ。
「行くぞ! ルークス学園へ!」
「兄ちゃん、俺も!」
「では、胡桃も連れて行きましょう」
密ちゃんは胡桃を引っ張った。
「は!? えっ!? ちょ! いやー!!」
胡桃は叫んでいた。
「一気に行くぜ! 強風!」
俺達は、空を飛んで行った。
――――
「美雪先生! 開けて!」
俺は、入口で叫んでいた。
「みんな!」
稀星が出てきた。
「稀星! 無事でよかった!」
「今、部外者は入れるなって言われてる。でも麻陽達なら、鑑定結果に問題がなければ、入れてもいいって許可がでている」
「お願いします!」
「鑑定」
俺達は、念入りに検査されている感じだった。
「ギーラ!」
稀星は胡桃を見て言った。
「えっ、私はギーラだけど」
そうだった。胡桃を連れてきているんだった。
「雷電!」
「石垣!」
胡桃は、石の壁で稀星の攻撃を防いだ。
「ちょっと、待った」
颯は二人の間に入った。
「胡桃、この建物の中にいる?」
「……結界が邪魔してて、正確な人数は分からないけど……多分二人」
「ふっ……!」
俺は言葉が詰まった。
「まずいじゃん!」
結衣も焦っている。
「なんの話しだ?」
稀星は不思議そうな顔をしていた。
「で、別の一人がこっちに近づいてきてる」
胡桃は淡々と話していた。
「やばいな……」
「とりあえず、また会えたら頼んだよ。強風!」
「ぅわあああああああああ!!」
胡桃は、遠くへ飛ばされた。
「他のみんなは、鑑定結果に問題なし。でもギーラと仲がいいってなると、話は別だ」
稀星は、颯の目の前に立った。
「ボスの居場所が分かるって言うから、案内してもらっただけだよ」
颯は稀星の目を見て言った。
「ボス!? 生きているのか!?」
稀星は驚いていた。
「そうみたい」
「えっ、さっきの二人って……」
「そのまさか」
「ボスと手下がいるって事か!?」
「分からない。でも負傷者が出てるんだろ!? 速く見つけないと、大変な事になる!」
颯は叫んだ。
稀星は、指輪に向かって話し始めた。
「緊急! 学園内にギーラのボスらしきが二名。警戒せよ!」
まずい事になってきた。
「じゃ、みんな急いで入って!」
稀星は言った。
「おう!」
――――
「麻陽達だから教えるけど、死亡したのは一生さん、重体は花音先生だ」
稀星は俺達を見て言った。
「えっ……」
「嘘……」
俺と結衣は固まった。
「そうだ、悠真は!?」
「無事だよ。もし麻陽達が来たら、理事長室に来るようにって言ってたから、詳しくは聞いてみて」
「教えてくれてありがとう」
「いいや……。じゃ、何か発見したら教えて!」
稀星は言った。
「了解!」
でも探すって言ったって、どこを探せば……。
「とりあえず、理事長室に行くか」
俺達は理事長室へ向かった。
次回。
仲間同士での戦い。




