45.おじさん
前回のお話。
俺達は突然、男に襲われた。
その男は、ギーラに襲われた村を守る為に、強くなりたかったという事が分かった。
俺達はその村へ案内してもらう。
俺と結衣、そして男の三人で村を目指して歩いていた。
男のミラストーンは、まだ返していない。
「あんた名前は?」
俺は男に聞いた。
「悠真」
「石をゲットしたって言ってたけど、どこで?」
悠真は見た感じ、20代前半か10代後半。
ゲットしたって事は、自分のミラストーンではない。
「石販売のおっちゃん」
「石販売!?」
「えっ、麻陽、ミラストーンって売っていいの?」
結衣は驚いていた。
「いや……売るって考えをした事がないから分からないけど、だめなんじゃない?」
「だよねぇ……」
本人も分かってて販売しているのなら、もう別の村に移動しているかも。
「あっ、あのおっちゃんだよ」
「えっ!?」
40代くらいの小太りのおじさんが歩いていた。
「すみません!」
「はい?」
おじさんは、俺達をじろじろ見ていた。
「なんだい?」
「あの……」
「あっ! あの! 私達、道に迷っちゃって!」
俺が話そうとしたら、結衣が話し始めた。
「よかったら案内しようか?」
「お願いします!」
俺達は、おじさんについて行く事になった。
「麻陽、あのときミラストーンの事聞こうとしてたでしょ」
結衣は小声で話した。
「うん」
「あのおじさん、私達の事すごい見てた。もしかしたら、ミラストーンを所持してるのかを見てたのかも」
「アミナスだったら逃げたって事?」
「可能性は大。悠真のは、麻陽が吸収してるから大丈夫だったけど」
「おっちゃん、俺の顔も覚えてないって事か」
悠真は言った。
「君達は、ここで何をしていたのかな?」
おじさんが言った。
どうしよう。
なんて答えれば……。
「修行です!」
結衣は言った。
ここは結衣に任せよう。
「修行をして、アミナスみたいに強くなりたいんです!」
はっきり言ったな……大丈夫か?
「そうか……私をどうするつもりかな?」
「えっ」
「君達はアミナスなんじゃないかい?」
ばれてる!
「逮捕しにきたのかな?」
「えっ……と……」
結衣は言葉が詰まった。
「おじさん、悪い事してる自覚はあるんだね」
俺は言った。
「私はアミナスなんだ。初期能力しか使えないけどね」
「なんでこんな事するんだ?」
「生きる為さ。私は、製造の能力を持っている」
製造……。
ボスと一緒だ。
「だが、能力は弱く、体も動かない。戦えないんだ。……それでも頑張っていたら、歳ばっかりとって、今度は就職難民さ。生きる為にはお金が必要なんだよ……」
つらい。
だからと言って、許していいものではないだろう。
「ルークス学園には連絡してみましたか?」
結衣は言った。
「ルークス学園の人達は、アミナスを見捨てる人じゃないです」
「恐くて連絡はしていない」
おじさんは下を向いた。
「連絡しましょう! 今からでも遅くないです!」
「……」
「私達もついて行きます!」
「ごめんなさい……」
おじさんは、泣いていた。
「その前に、悠真の村に行ってからな」
俺達は、また村へ向かった。
――――
「ここが俺の村だ」
人は少なそうだ。
でも子供達はみんな笑って遊んでいた。
「悠真!」
「母ちゃん」
女性はこちらへ走ってきた。
「大丈夫!? よかった……!」
「大丈夫、どこも怪我していないよ」
そっか、村長が殺られたんだよな。
息子が帰って来なかったら、心配だよな。
「あなた達は?」
「村を調査しにきました」
「村長を殺した犯人を、調べに来たのかい?」
「えぇ」
「案内するよ。こっちへ」
俺達は女性と一緒に向かった。
「ここで村長が死んでいたんだ」
ギーラが犯人だったら、村長だけではすまないだろう。
もしかして、人間の仕業か?
「村長の交友関係を伺ってもいいですか?」
「えっ、こんなのギーラが殺ったに決まってるでしょ!?」
「証拠がないので……」
「村長の交友関係なんて知らないわ!」
女性はいなくなった。
「母ちゃん待ってよ!」
悠真もいなくなった。
「どう思う?」
俺は結衣に聞いた。
「あの女性あやしいよね」
「悠真には悪いけど、あの母ちゃん何か知ってるよな」
俺達は聞き込みを始めた。
――――
特に変わった様子はなかった。
収穫なし。
「どうする?」
俺は結衣を見た。
「どうしたらいいか分からないね」
結衣もお手上げだった。
「ん?」
「麻陽どうしたの?」
「あそこに今、誰かいたような」
俺達は確認しに向かった。
「あっ……」
そこには女の子がいた。
「待って!」
女の子は走って逃げた。
だが、俺達の方が速い。
すぐに女の子を捕まえた。
女の子はガリガリに痩せていた。
「ねぇ、どうして逃げたの?」
「……」
「もしかして何か知ってるの?」
「……」
「麻陽の顔、恐いんじゃない? 私が話す!」
「なっ、俺のどこが恐いんだよ!」
「そういうとこー」
「はぁ!?」
「私の方が可愛いから話しやすいでしょっ!」
「どぉこが可愛いんだよ」
「はぁ!?」
俺達が言い争っているうちに、女の子はまた逃げた。
「「あっ!!」」
しまった!
また逃げられた!
「きゃっ」
女の子は、悠真にぶつかり倒れた。
「どうした? 夏世」
「悠真おじちゃん……」
悠真は俺達を見た。
「もしかして、あいつらに何かされたのか?」
「ちょちょちょちょーっと待て!」
「私達はその子に話を聞こうとしただけよ!」
「話し?」
「そう! 何か知ってそうだから!」
「何か知ってたら、俺に話してくれるか?」
悠真は言った。
「……」
女の子は悩んでいたが、うなずいた。
――――
「……嘘だろ」
悠真は呆然としていた。
村長は、女の子を誰かに渡そうとしていたらしい。
それを見た悠真の母ちゃんが、村長を殺したらしい。
「母ちゃんに聞かないと……!」
「悠真!」
俺達は、悠真を追って走った。
――――
「母ちゃん!」
「来ないで!!」
女性は包丁を持っていた。
「母ちゃんだったの?」
「だって! 夏世を売り飛ばそうとしていたのよ!?」
「だからって、やっちゃいけない事だって分かるだろ!?」
「じゃあどうすればいいのよ!」
「本当に売り飛ばそうとしていたんですか?」
俺は聞いた。
「どういう事?」
「お金のやり取りを見たとか、あきらかに変な相手だったとか!」
「そんな……だって、あれは……えぇっ!?」
「母ちゃん!」
女性は、持っていた包丁を落とした。
「それに関しても証拠がないから、俺達には分かりません」
本当の事は、もう分からない。
あの様子を見る限り、もう攻撃はしてこないだろうけど、今後のケアが必要だ。
「悠真、あとは頼んだよ」
「……ありがとう」
悠真はそう言うと、女性の方へ駆け寄った。
「行こうか」
「うん」
俺達とおじさんの三人で出発しよう。
「母ちゃん! 母ちゃん!?」
なんだ?
振り返ると、そこには顔がぼこぼこ動いている女性の姿があった。
「悠真! 離れろ!」
女性の顔から、血飛沫が舞った。
次回。
女性はギーラになってしまった。
血飛沫をあびた悠真は人間?
それとも……。




