44.男
前回のお話。
ボスを倒し、みんながそれぞれの道に進んだ。
俺と結衣は再び旅に出る。
「いた! 炎!」
俺は炎で攻撃をする。
「ぎぃやぁぁっ!!」
「結衣! そっちにもいる!」
「毒!」
「がぁぁぁぁっ!!」
俺と結衣は、旅をしながらギーラの残党を倒していた。
「意外といるなぁ」
「そうだね。あとどれくらいいるんだろう」
列車で移動したいところだが、それだと残党に会わないので、歩いて行動するしかなかった。
大変だが、残党を倒せば確実に減っていくはずだ。
そのとき、結衣のお腹がなった。
「あーあーあー!」
「いや、聞こえてた聞こえてた! ごまかさなくていいから!」
結衣は顔が赤くなった。
「いまさら隠したって。初めてじゃないんだから」
「それじゃあ、私が食いしん坊みたいじゃん!」
「え?」
「え?」
「いや、食いしん坊だろう!」
「そんな事ない! 自然現象!」
「なら、いいじゃん。どうせなら、知星のご飯食べに行こうか!」
「うん!」
俺達は、レストランモンテルを目指して歩いた。
――――
「いらっしゃいませー! あ!」
「知星!」
「知星ちゃん!」
俺達は、厨房にいる知星に声をかけた。
「結衣、お腹すいたの?」
知星は、結衣に聞いた。
「どうして私がお腹すいたってなるの?」
「結衣だから」
「そりゃそうだよな」
「もぉ!」
俺達は笑った。
「いくら丼とえび天うどんでいい?」
知星は言った。
「お願いします」
「了解」
俺達は席についた。
「懐かしいな」
「そうだね」
あのときの少女が、厨房に立っている。
あのときの俺達は、まだまだ未熟だった。
「少しは大人になったかなとか思ってるでしょ」
「え!?」
「麻陽のことだから、そんな事考えてしんみりしてるんだろうなと思って」
「はぁ!? 違うし! あのときご飯食べてたら、ギーラが来たなって思ってただけだし!」
「確かに。私達を狙ってると思って、勘違いしちゃったんだよね」
「おまたせしましたー!」
目の前に、いくら丼とえび天うどんが置かれる。
「おっ!」
「いただきます!」
「おいしい! 知星の料理もおいしいな!」
「……」
結衣は、黙々と食べていた。
どんだけお腹減ってたんだよ。
「また詰まるぞ」
「……!」
「結衣!」
俺は、結衣の背中を叩いた。
「……はぁっ! 死ぬかと思った!」
「一人だと心配になるわ」
そのとき、入口の扉がぶっ飛んだ。
まさか、ギーラ!?
……男?
まぶたにピアスがついている。
あれは、ミラストーンか?
周りを見渡している。
誰かを探している?
「誰?」
知星が、男の前に立った。
「この中で強いやつは誰だ」
知星は周りを見た。
「私」
「ぅおいっ!」
俺はつっこんだ。
「確かに麻陽よりは……」
「なんでだよ! 俺だってそれなりに強いだろう!」
俺と結衣は、言い争っていた。
「重力」
男がそう言うと、知星が膝まづいた。
「知星!」
「な……に……したの……」
「あんたに倍の重力をかけている」
「お前、アミナスなのに何してんだよ!」
俺は、男の方へ走った。
「重力」
「っ!」
ものすごい重さのものが、上からのしかかっている。
動けない……!
「空間」
結衣が、能力を使った。
体が軽くなってきた。
「これから、ここは私のテリトリー。好き勝手にはさせない」
「俺の技を防御したの、お前が初めてだ」
男は結衣を見て笑っていた。
「楽しもうぜぇ!」
「防御!」
「レベル2!」
さっきより重力が強くなった。
俺と知星は、重力に耐えていた。
「レベル3!」
……これはつらい!!
「……電光石火!」
知星は、素早い速さで男に近づいた。
「雷撃!!」
直撃だ!
「はっ! そうでなきゃ!」
男は楽しんでいた。
「爆撃!」
俺は、男の足下を攻撃した。
「レベル……!」
「眠り」
結衣がそう言うと、男はぶっ倒れた。
助かった。
なんだったんだ。
「レベル4」
!!
「防御!」
「防御!」
「防御!」
男は口から血を流しながら、立とうとしていた。
「眠っていない!? なんで!?」
結衣は驚いていた。
「楽しくなってきたなぁ!」
「毒!」
「雷撃!」
「炎!」
「重力!」
俺達の攻撃は、重力で押し潰された。
「弱いなぁ……強いやつはいないのか!?」
このままだとまずいな。
俺も知星も、レストランが壊れないように本気を出せていない。
俺達の攻撃は、建物を破壊してしまう。
「いい加減にしなさいよ!」
結衣?
「私の大事ないくら丼、まだ全部食べれてないんだから!!」
は?
「幻覚! 痛み! 感染!」
「重力!」
「そんなもの……私には効かない!!」
「がぁ……っ!!」
男は口から血を出した。
そうか、直接攻撃は途中で重力にやられてしまう。
今の技は、直接攻撃の中でも目に見える技じゃない。
粒子を細かくして、いろんな場所から攻撃しているんだ!
眠りも効いてはいた。
「はぁぁぁっ……はぁぁぁっ……ひひひっ」
やっぱり生きている。
俺は男の方へ歩いた。
「なんだてめぇ……お前は弱いんだから引っ込んでろよ……」
「吸収」
「なっ!」
俺は、男のミラストーンを吸収した。
「重力! 技がっ!?」
「ブルージェット」
知星は、雷で男を拘束した。
「くそっ!」
男は雷を引きちぎろうとしていた。
「お前なんなんだよ」
俺は男に聞いた。
「……」
「アミナス同士で戦ってどうするんだ?」
「俺は、強いやつと戦いたいんだ」
「は?」
「強ければギーラでもアミナスでも関係ねぇ」
「そんなに強さを望んでどうするんだ?」
「……強いやつが一番だ。俺は一番になりたい」
この男、もしかしてアホなやつか?
「確かに一番はすごいけど、それだけがすごい事じゃないよ? 力で一番もいいかもしれないけど、誰かの一番になるのもすごいんだから」
結衣は男に言った。
「知星ちゃんは、このレストランの料理長!」
「麻陽は……分からないけど」
「おい! 別に何番だっていいんだよ。一番が絶対ではないんだから」
あれだけ威勢のよかった男が、静かになった。
「俺は強くなってアミナスみたいになりたいんだ! 村の仇をとるんだ!」
「えっ、アミナスじゃないの?」
「学校に通ってはいない。最近、この石をゲットしたんだ。強くなれば、通わなくてもなんとかなると思って」
「どういう事?」
知星は聞いた。
「俺が一番村で強い。俺がいなくなったらギーラを倒すやつがいない。村長が殺られて、みんな気持ちがおかしくなっている。俺が抜ける訳にいかない」
「元気回復」
結衣は、男の傷を治した。
「自分一人で背負わないで、誰かに頼る事も大事なんだよ」
結衣は言った。
「その村はどこなんだ?」
「知ってどうする」
「役に立てる事が見つかるかもしれないだろ」
「……すまなかった」
「いいよ」
俺と結衣は、男と一緒に村へ向かう事にした。
次回。
ミラストーンを売っているおじさんと出会う。




