35.百パーセント
前回のお話。
ギーラの炎の能力を吸収した俺。
そのせいか、炎を制御できず右手がどんどん燃えていく。
「……なんかつまんない。行こっ」
橙也と日向はどこかへ移動しようとしていた。
「結界!」
花音先生!
「おばさん、なあにこれ?」
「坊や達を逃がすわけには行かない」
「いいよ。その体も燃やしてあげる」
ちくしょうっ!
なんなんだ!
……。
……なんだ。
何か聞こえる。
「……いでよドラゴン」
俺がそう言うと、体から巨大なドラゴンが出てきた。
翼をバサバサと動かして飛んでいる。
「何それっ! おもしろそう!」
ドラゴンは雄叫びをあげ、炎を吐き出した。
「どっちの炎が強いか勝負だ! 炎!」
橙也は、ドラゴンに向かって炎を出した。
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
橙也が燃えてる!
「なんで! 僕に炎は効かないはずなのに!」
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「日向っ! なんでっ! 体が燃えてる!」
「にいに……」
「日向っ……ぁぁぁぉぉああぁぁぁぁっっっっ…………覚え……てろ……」
橙也と日向は燃え尽きていなくなった。
ドラゴンもいなくなった。
「はぁっ……はぁっ……」
俺は膝から崩れ落ちた。
「麻陽! あつっ!」
消えない!
なんで!
「!」
俺の右手は勝手に動き、先生に向かって炎を出していた。
「結界!」
「なんなんだ! 止まれよ! 止まれぇぇぇぇ!!」
「封!」
突然現れた副理事長に、俺は包帯でぐるぐる巻きにされた。
何もしゃべれない。
「申し訳ありません。封印させていただきました」
「副理事長!」
花音先生は言った。
「麻陽をどうするつもりだ!」
「つれて帰ります」
「そんなっ!」
「理事長命令です」
「……分かりました」
しかし、包帯がほどけ、また俺は能力を暴走させていた。
「麻陽っ!!??」
俺の顔、体は変わっていた。
「その姿、まるでギーラじゃないか……!」
「封!」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は副理事長に攻撃をしていた。
自分の体じゃないみたいだった。
とても速く、とても見える。
副理事の横っ腹をかすめた。
血がとてもきれいだ。
「結界!! 麻陽っ!!」
花音先生は、俺の周りに結界を張った。
俺を閉じ込める気だ。
そんなの許さない。
俺は雄叫びをあげた。
「結界が!!」
叫び声だけで結界が壊れた。
背中から翼が生える。
さっきのドラゴンの翼だ。
「麻陽!!」
「逃げられる!」
「眠り!」
「結衣!」
俺は眠気で動きが鈍くなった。
「復元!」
結衣は俺に、攻撃ではなく復元の能力をかけた。
少しずつ体が戻っていった。
翼が消え、体、顔、元の俺に戻っていった。
体が動かない。
「元気回復!」
しばらくすると眠気から覚めた。
「麻陽!」
「結衣……」
「麻陽!」
「先生……」
「封!」
俺は再び包帯で覆われた。
「副理事長!」
「麻陽さんをつれて来るよう指示されています」
「わわわわ私も行きます!」
「私も行きます」
「どうぞご勝手に」
俺は副理事長にかかえられ、理事長室へ向かった。
副理事長はドアをノックしようとしたが、する前に理事長の声がした。
「入りな」
「失礼します」
「おや、結衣。どうしたんだい?」
「麻陽を一人にしたくないので来ました!」
「おやおや、お熱い事だこと」
理事長は笑って結衣をからかった。
「ちちち違いますっ!」
理事長は大きな声で笑った。
「理事長」
「何かね? 花音先生」
「麻陽をどうするおつもりですか?」
「それをあなたに教える義理はないよ」
沈黙が流れる。
「……失礼しまし……」
「なんてね」
「!」
「別に殺しゃしないよ。ただ、先生も見ただろ?」
「はい」
「あれは人間じゃない。ギーラだ」
「以前、血液検査をした事があった。あのときは異常はなかった。ただ、功見研究員から報告があった」
「功見さん!?」
結衣は驚いていた。
「おや、知っているのかい? その報告書には、こう書いてあった。アミナス、麻陽は百パーセント人間とは言えない」
「百パーセント人間とは言えない?」
「結衣にも分かるように話そう。検査をして、人間なら絶対に百パーセントの数値が出る。99パーセントの結果は人間ではない事を意味するんだ」
「絶対に……百パーセント……」
「詳しいパーセントまでは書かれていないから分からないけど、麻陽は百パーセントではなかった。人間ではない」
「人間じゃない……」
結衣は呟いた。
沈黙が流れた。
……俺は人間じゃない?
じゃあ俺は誰だ?
さっきの姿はギーラだった。
俺はギーラなのか?
違う、俺は人間だ。
「茉白、解いてやりな」
「解!」
包帯がほどけていく。
「理事長……俺……人間じゃないの?」
俺は震えていた。
そして、元の姿に戻っていた。
「俺、契約なんてした事ない。でも、さっきの姿はギーラだった……」
「あんたの能力も関係してるかもね」
「能力?」
「ギーラのミラストーンを吸収する事によって、能力を発揮する。その吸収されたミラストーンや能力は、完璧に無毒化された物なんだろうか?」
「……あ」
「ギーラの成分を吸収してるんだ。ギーラの細胞、エネルギーも体の一部となっていれば、今回みたいな結果が出ても不思議ではないだろう」
「じゃあ、俺っ!」
「でも危害を加えた事実は消えない」
「!」
俺、自分の事しか考えてなかった。
「花音先生! 俺! すみませんでした!」
「うん、許す!」
「今回、なぜ能力が暴走してしまったか原因は分かるかい?」
「……分かりません」
「私が到着したあと、ドラゴンを出していたよ」
「先生が到着する前……俺はギーラの炎を吸収しました」
「それが原因の可能性が今のところ高いかもしれないね」
理事長は言った。
「先生の能力を吸収したときは大丈夫でした」
「ほぉ……じゃあギーラの能力を吸収したからだと……」
「でも、俺の能力はギーラのミラストーンを吸収する事で、技を出せます!」
「たまたまか、ギーラの細胞を吸収しすぎたか、炎を吸収した副作用か……」
「副作用……」
「なんにせよ、ギーラの能力を吸収する事を控えた方がいいだろうね」
「……分かりました」
また俺だけ何もできない。
能なし。
「むぉっ!!」
俺は結衣に、両手で両頬を潰された。
「麻陽! ギーラがいっぱい来てる! 助けに行くよ!」
「……分かってるよ!!」
「麻陽! 結衣! ここは大丈夫だから、別の場所を頼んだ!」
「はい! 先生!」
「了解です!」
俺達は学園を出発した。
次回。
穴から大量に放出されるギーラ。
寧々(ねね)が助けてくれ、俺達は穴を塞ごうとする。




