26.体内
前回のお話。
ギーラの少年、颯は、半分人間だった。
颯はどっちの味方なのか……。
「分からない」
「分からないって……」
「味方とか敵とか、そう言う事考えると頭痛がするんだ。ギーラは、人間を敵としてプログラムされているけど、俺は半分だけだからか自由がきくんだ。でもギーラを攻撃しようとすると百パーセントの力は出ない」
「最終的には、ボスを攻撃しないようにプログラムされてるって感じなのかな。親には会いに行ったのか?」
「行ったさ! でも近づけば攻撃したくなるんだ! 我慢できるって言ったって、完璧に制御できる訳じゃないんだ! 遠くから見て帰ってきたよ」
「だからコンタクトしてるのか?」
「気づいてたんだ」
「さっきな。カラコンでなんとかなるのか?」
「サングラスは外す事があるから……これが一番うまくいった」
こいつもいろいろあったんだな……。
「俺の心臓は人間の心臓だ。きっと人間に戻る事ができるんだ。だから家出した」
「バレたらやばいんじゃないのか?」
「だから飛ばないで移動してんだよバカ」
……くっそ!
「これからどうするんだよ、胡桃にもバレちゃったし」
「とりあえず近くの町まで歩くしかないな」
「えぇぇぇぇぇ面倒くせぇー」
「うるせぇな、この近くはドクタータウンのはずだからそこまで歩くぞ」
「へいへーい」
俺と颯は、ドクタータウンまで歩く事になった。
そして、歩いて50分くらいがたち、やっとドクタータウンに着いた。
「もう喉カラカラ……足も疲れた……」
「普段、風ばっか使ってるからだよ」
功見さんと仁いるかなー。
「あっ! 麻陽!! 父さん! 麻陽が帰ってきた!!」
「麻陽が?」
「こんにちは! お久しぶりです!」
「おやおや元気そうでよかったよ! ん? そちらは?」
「俺の親戚です! 颯って言います」
「そうかい、よろしくね」
「……よろしく」
颯は、俺の後ろから様子を伺っていた。
「おい、コンタクトしてたって、あのおっちゃんとチビはアウトだぞ!」
颯は小声で俺に訴えてきた。
「まぁまぁ、落ち着いて。近づかなければ大丈夫だから」
「どうしたんだい?」
「いえ! なんでもないです!」
「ずいぶん疲れた感じだね、奥で休んで行くといいよ」
「すみません、ありがとうございます」
俺達は奥の部屋に進んだ。
しばらくすると功見さんが、サンドイッチを持ってきてくれた。
「よかったら食べてね」
「ありがとうございます! あれっ仁は?」
「あの子はこれから学校があるから、友達のところに行ったよ」
「そうですか!」
「……よかった」
颯はほっとしていた。
「いただきます!」
俺達はサンドイッチを食べた。
「ちなみに颯君はアミナスかな?」
「はい」
「おい」
やべっ、咄嗟に返事しちゃった。
「それを食べたら、俺の研究に付き合ってくれないかな?」
めちゃくちゃ好奇心がある顔をしている。
これ、バレるんだろうか?
半分、人間なんだよな。
え? これまずい?
「僕、注射恐いっ!」
さすがー。
「あぁ、そうだよね、恐いよね、ごめんね」
セーフか?
「じゃあこの紙を舐めてもらってもいいかな?」
「……うん」
舐めるだけなら大丈夫だよな?
颯は白い紙を舐めた。
「ありがとう、君は何の能力を持っているの?」
「……風」
「おぉ、外で見せてくれないかい?」
「いいけど」
功見さん、普段、仁といるからか颯と話すの上手だな。
俺達は外に出た。
「いいよ! あの木の方に出してもらっていいかな!」
「かまいたち」
颯の出した風で、木が切り刻まれた。
「すごい! 颯君!」
功見さん、めっちゃ拍手してる。
「痛っ!」
「どうした颯!」
「ちょっと頭痛が」
「ごめんね! 疲れてるのに俺が無理させちゃったから! 奥でまた休んでて!」
俺達は部屋に戻る事にした。
「大丈夫かよ」
「あぁ、たまになるんだ」
「俺、薬あるよ」
「俺に効くのかな」
「さぁな」
――――
しばらくして、体調もよくなったので、俺達は出発する事にした。
「もう行っちゃうのかい?」
「元気な顔を見れてよかったです! いろいろありがとうございました!」
「あ、そうそう、二人とも似たような成分を保持していたよ」
「似たような?」
「颯君も見たところ、ミラストーンを持っていなさそうだから、体のどこかにあるのかな? 結衣も体の中にあるからなのか、似たような成分だったよ」
「体の中から、何かが流失してるって事ですかね?」
「よく分からないけど、三人に共通しているのは、体内にミラストーンがあるって事だから、何かあるんだろうね。研究のしがいがあるね!」
「何か分かったら、今度教えて下さい」
「あぁ! もちろん! あっ、そろそろうるう年が近いから、気をつけるんだよ!」
「はい! いってきます!」
俺達は列車乗り場へ向かった。
「なぁ、俺、体内にミラストーンあんの?」
「は?」
「俺、実験前は普通の人間だったから、ミラストーンなんて持ってないんだよね」
「いや、でも能力使えてるって事はそうなんじゃないの?」
「あの注射に何か入ってたって事か」
「まさかミラストーンを液体にはできないよな?」
「ボスなら分からない、だって俺、能力使えてるんだし」
「いろいろ調べてもらったら分かるかもしれないけど、リスクがあるからな」
「まぁ、自分の体について少し分かってよかったよ」
「まもなく発車しまーす」
「乗ります!! いくぞ!!」
俺達は無事、列車に乗る事ができた。
次回。
颯がお金を持っていないと知った俺は、お菓子の町で颯と働く事になった。




