25.家出
前回のお話。
一カ月の修行を終え、俺は旅にでる。
どこに行こう。
みんなと別れる前、電気の町にいたんだよな。
その前は医療の町。
……お菓子の町があったっけ!
よし、そこを目指そう。
みんなもいるといいな。
あの音は…………列車だ!
俺は急いで走った。
「乗ります!」
「はいよー」
俺は、運転手のおじさんに頭を下げ、列車に乗った。
お腹すいたなー。
「お弁当いかがですかー」
お弁当販売員の、美人なお姉さんが歩いている。
よし、買おう!
「「すみませーん!」」
「「は?」」
左を見ると、宝石の町カタリナで会った、ギーラの少年がいた。
「あれれー兄ちゃん久しぶり! 一人で何してるのさ!」
「おまっ! お前こそ何してんだよ!」
「ちょっと家出中なんだよねー」
「家出って……ってか飛んだ方が速くないか?」
「バカだなー飛んでたら見つかるに決まってんだろ? それに俺の名前は颯! 忘れたの? やっぱりバカだなー」
「てめぇ、ふざけ……」
「俺たまごサンド!」
「あっ!! 俺の!!」
「ハムサンドもあるからいいじゃんかー」
「俺はたまごサンドが大好物なんだよ!」
「たまごも俺がいいって言ってるからー」
「何言ってんだよアホか」
「じゃあハムサンドももらいー」
「あぁっ!! てめぇ!!」
「うんまー! 兄ちゃんありがとなー」
「こんのやろぉっ……!!」
「お代よろしいですか?」
「えっ?」
「サンキュー兄ちゃん」
「いやっ! 俺こいつの兄じゃないです!」
「こいつ?」
「えっと、この子の兄ではないです!」
「ひどいや兄ちゃん! 僕がたまごサンド取ったからって!」
颯は嘘泣きをしていた。
「お前っ!!」
「お前?」
お姉さんの目つきが恐い。
「違います! 俺この子の兄じゃ……」
「ぅえええええええええーーーーーーーん」
このやろぉっっっっっ!!!!
「……払います」
結局払ってしまった。
もうパンがない。
たまにはおにぎりにするか。
「すみません、これも下さい」
「ありがとうございます」
はぁ……お腹すいた。
「サンキュー! あ、そのおにぎりもおいしそうだな!」
「これは俺の!!」
「はははっ!」
「!」
いくらのおにぎりだ!
何も見ないで買ったから分からなかった。
……結衣元気かな。
「……なんかしんみりしてんなー。他のメンバーはどうしたのさ」
「さぁな、みんな元気にしてるさ」
「なんだそれ、あんたも家出か?」
「ちげぇわ! てかどこまで行くんだよ」
「俺、暇してんだよね」
颯は俺を見て、にやりと笑った。
おいおい……まさか……。
「よろしくな!」
「まじかよ……勘弁してくれよ……」
俺は颯と一緒に、お菓子の町に行く事になった。
「なぁ! お菓子の町ってどれくらいで着くんだ?」
「んー……分からん」
「なんだよ、頼りになんねぇーなー」
「うるせぇな、少し静かにしろ!」
「!!」
列車が急に止まった。
数秒後、後ろの方で爆発音が聞こえた。
「なんだ!?」
「おっ! おもしろそう!」
「あっ! ちょっと待て!」
颯は走って行ってしまった。
仕方ない、俺も行くか。
俺は後を追った。
すると、そこには巨大な全身石の人形がいた。
十メートルくらいありそうだ。
よく見ると右肩に誰か乗っている。
ツインテールの女の子だ。
「アミナスの反応があると思ったら、こんなとこで何してるのさ! 颯!」
「知り合いか?」
「ギーラの胡桃と岩人間のロッチャ、石を操るんだ」
「あんたを見つけたら、連れてこいってボスに言われてるんだよね!」
「嫌だね!」
「出来損ないのくせに、歯向かってんじゃないよ!」
岩人間が、俺達に向かってパンチをしてくる。
動きが遅いおかげで、俺達は避ける事ができた。
でも、くらったらまずいな。
「胡桃じゃ、俺に勝てないよ」
「ふざけんじゃねぇ!! 多少、傷ついてもいいから殺してしまえ!」
「いや、傷ついていいから殺すって意味分かんねぇ」
「うるせぇ! ロッチャ!!」
胡桃はロッチャを操り、颯を攻撃していた。
俺の事は忘れてるな、あの子。
確かに強くはなさそうだ。
パンチ、キック、破壊力はあるが動きが遅いから当たらない。
当たらなければ意味ないからな。
「なんで! なんであんたなんかが、ボスに気に入られてるんだよ!」
「なんだ嫉妬か」
「うるさい!」
あぁ……あの子、全然相手にされてない。
てか、あの子もしゃべれるんだな。
「あんたなんて! ギーラなんかじゃない! あんたなんて……!!」
……殺気!
「それ以上言ったら消すよ」
速い……。
さすが風の能力者だ。
瞬時に後ろに回り込んだ。
胡桃の後頭部には、颯の掌がある。
言葉を発すれば一撃だ。
「……なによ。やればいいじゃない。どうせ私は落ちこぼれよ。でも、私はあんたみたいに、半分人間なんかじゃない!」
……人間!?
「強風」
胡桃はロッチャと共に、遠くに飛ばされた。
「……人間ってどう言う事だよ」
「場所を変えよう。どっちにしろ列車は動かない」
俺達は、少し離れた場所に移動した。
――――
「俺、実験台なんだ」
「実験台?」
「人間に、ギーラの細胞液を注射するんだ。失敗したやつらは、苦しみながら死んでいったよ」
「は!? 契約したら人間の心臓が死んで、ギーラになるって話はなんなんだよ!?」
「みんながみんな、ギーラになりたい訳じゃないだろ? これが成功すれば望まない人間達は、知らない間にギーラに変身って訳さ」
「なんなんだよ、その計画!」
「俺は死ななかったけど、完璧なギーラではなかった。半分人間なのさ」
「そういえば昔、子供の失踪事件が噂になってた。その子達が実験台になったって事か!?」
「多分そうだね。みんな俺と同い年っぽかったし」
「……颯はどっちの見方なんだ?」
次回。
ドクタータウンに着いた俺達。
研究員の功見さんは、颯に興味を持っていた。




