22.女好き
前回のお話。
俺は、ルークス学園で花音先生を待っていた。
案内してくれた女性から、稀星の過去を聞いて号泣していた。
「えぇっ!? すみません! ティッシュどうぞ!」
「ありがとうございますっ……」
「つい、話しすぎちゃいましたね。内緒ですよ?」
女性は、にこっと笑い、人差し指を口元へ持っていった。
「はい!」
俺はどきどきしてしまった。
恥ずかしさを紛らわす為に、お菓子を、ガッ!! っとつかんで食べた。
そしてむせた。
「大丈夫ですか!?」
女性は背中をさすってくれた。
そこで部屋の扉が勢いよく開いた。
「おまたせ麻陽! ……あらっ?」
「あっ、花音先生……!」
「お邪魔でしたかな?」
「ちちちちがっ!!」
「それでは、私はこれで失礼致します。麻陽さん、また」
「ありがとうございました!」
静かに扉が閉まった。
「麻陽って女好きだったっけ?」
「違いますよ!!」
俺は食いぎみに叫んだ。
「先生にお願いがあって来ました」
「何かな?」
「俺と付き合ってほしいんです!」
「やっぱり女好きって事なのかな?」
「ちがっ! 特訓に付き合ってほしいんです!」
「いいけど、特訓なら結衣としたらいいんじゃないの?」
「それじゃあ強くなれないんです!」
「?」
俺は一から説明をした。
「なるほど。それなら私だけじゃなく、他の先生にも頼んで見ようか。ちょっと待ってて」
先生は勢いよく扉を閉めた。
――――
しばらくして放送が流れた。
「麻陽さん、これからトレーニングルームへ移動して下さい」
さっきの女性の声だ。
了解です!
俺はトレーニングルームへ移動した。
トレーニングルームには、花音先生、理事長、副理事長、さっきの女性、男性がいた。
「さて、麻陽はみんなにボコボコにされたいらしい! 先生方、頼みましたよ!」
「ボッ!?」
「まずは私だ!」
花音先生はそう言うと、もう俺の目の前に来ていた。
速い! 来る!
右フック、膝蹴り、左フェイント、アッパー。
ものすごい速さで攻撃をしてくる。
俺は全てかわす事ができた。
やっぱり先生とは戦った事があるから、なんとなく分かる。
「おっ! いいね! これはどうかな?」
先生は人差し指を前に出した。
「結界針!」
「痛っ!! やべぇっ!」
避けきれず、左腕をかすってしまった。
無数の針が俺に襲いかかってきた。
「炎!」
効かない!!
避けるしかない!!
「チェンジ!」
俺は先生の後ろに移動した。
いける!
「炎! 」
「結!」
正しい技名じゃなくても発動できるなんて!
「いいねー! 麻陽! 技が増えたんだね!」
「先生こそ、さすがです!」
「とりあえず休憩! 水分とろうか!」
俺と先生は椅子に座った。
「先生のあの技なんですか?」
「あぁ、結界針? 結界を針状にして攻撃したんだ」
「そんな事可能なんですか!?」
「攻撃されても、そもそもが結界だからね。結界針は壊れないよ」
「結衣にも教えてあげなきゃ」
「結衣ならすぐ覚えちゃうかもねー! 吸収が早いから!」
吸収……。
「あっ!」
「ん?」
「先生! 結界針お願いします!」
「分かった。……結界針!」
できるか分からないけど……!
タイミングよく!
「吸収!」
結界針が、俺の右手に吸収されていく。
「放出!」
「嘘っ!!??」
俺から結界針が放出される。
「結界!!」
先生は両手を出し結界を張った。
どちらが破れると言う事はなく、相殺した。
「うまくいった!!」
「麻陽ーー!! 何か言ってからやりなさーーい!!」
「すみませーん!!」
「今のはどういう事?」
「俺の石の能力、『吸収』を使ったんです」
「石を吸収するだけじゃなく、能力も吸収できるの!?」
「みたいです」
「みたいって……思いつきでやった?」
「あ、はい……すみません」
「もう一度出す事はできる?」
「分かりません、やってみます」
俺は右手を前に出した。
「放出!」
……何もでない。
「能力そのものを奪うとかではなく、その技を一度吸収するって事らしいね」
「先生は変わりないですか?」
「結界針!」
「ぅあっ!」
「大丈夫だよ、ちゃんと人がいない所に出したから」
びっくりした……。
「先生は大丈夫ですね」
「よかった、もう出せなかったらどうしようかと思った!」
あ、そうか。
先生、ごめんなさい。
「よし! 選手交代!」
あのときの女性が出てきた。
「また会いましたね。私の名前は美雪と申します、よろしくお願い致します」
「麻陽です! よろしくお願いします!」
「ふふっ、知ってる」
「なぁにいちゃついてんだー! さっさとやれー!」
花音先生から怒られる。
「はい! すみません! よろしくお願いします!」
「では、遠慮なく」
……隙がない構えだ。
よく見ろ。
隙を、弱点を探すんだ。
「……来ないならこちらから行きます」
美雪先生は、ネックレスに手をかけた。
ネックレスの先には、小さな拳銃がついていた。
見た目はネックレスだけど……。
「ビッグ」
先生がそう言うと、拳銃は大きくなっていった 。
その感じ、打ってくるやつだよね!?
炎で防げる!?
爆発しちゃうか!?
あと使えるのはチェンジしかないし!
そんな事を考えていたら、案の定先生は、俺に拳銃を向けた。
「もう大丈夫ですか? 本番はこんなに待ってくれないですよ?」
先生、俺の為に時間をかけてくれていたのか。
俺も失礼のないように戦おう。
「お願いします!!」
その瞬間、先生は発砲した。
「チェンジ!」
俺は弾の軌道を変えた。
斜め左後ろに銃弾が当たり、壁の一部が崩れた。
一か八かだったけど何とかなった。
そしてこのトレーニングルームの強度、どうなってるんだ。
もっと壊れてもいいくらいの威力だったぞ。
「おもしろいですね。その能力があれば当たらないですね」
そうだけど、それじゃ戦えない。
「コルトM1911はそんなに甘くないですよ」
先生はそう言うと、続けて発砲した。
全弾!?
「チェンジ!!!!」
次回。
美雪先生は、容赦なくマシンガンで俺を撃ってくる。




