17.研究
前回のお話。
新しい能力を得た俺だったが、また発動しない。
研究員の功見さんは、みんなの能力が気になっているみたいだった。
「私は医療術師です!」
「僕は音」
「私達は雷」
「どれも素晴らしい能力だね」
みんながとても喜んでいる。
さすが大人だ。
みんなが喜ぶ言葉を知っている。
喜んでいる途中、結衣が壁に気づいた。
「あ、壁が壊れてる。直してもいいですか?」
「え? うん、直せるのかい?」
「はい、壊れた壁が残っているので可能です」
よかった!
俺の壊した壁、結衣が直してくれる!
「復元」
みるみると元に戻っていく。
助かった……。
「君、医療術師って言ってたよね? 物も直せるの?」
功見さんは、結衣の肩をつかんで驚いていた。
「え、何かおかしいんですか?」
「医療術師は、人に対して発動し効果があるものなんだ。とても貴重な能力だよ!」
俺達はずっと一緒にいたから、そんな事知らなかった。
それが普通だと思ってた。
「ぜひ! 研究させていただけないだろうか!」
あ、目がキラキラしてる。
研究者として興奮してるな。
「え? え? みんないいかな?」
「いってらっしゃーい」
「よし! こっちだ!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!」
時間が惜しいのか、すぐにいなくなってしまった。
「また待たなきゃいけないのね」
「きい」
「俺のせいで、すみません」
「はい、お土産のチョコ」
「ありがとう、響……!」
「ここらへん、特にギーラに関する情報はなかったわ」
「そっか……ありがとう稀星」
「別にあなたの為じゃないわ」
「嬉しいくせに」
「違うわよ!」
知星と稀星は本当に仲良しだな。
――――
それから1時間がたち、疲れきった結衣と、満足した功見さんが帰ってきた。
「いやー実にいい研究ができた! ありがとう!」
「結衣、お疲れ」
響は結衣にチョコを渡した。
「ありがとーう!!」
泣きながら喜んでる。
「何か分かったんですか?」
「いいや! 何も!」
「え!?」
みんな驚いていた。
「結果は後日分かるからね。資料としてまとめさせてもらったよ」
「私、注射苦手なの」
どうりで泣いてる訳だ。
「麻陽も結衣も、ミラストーンが体内にあるから、見た目や大きさについては分からなかったけど、二人とも聞いた事がない能力なのは確かだよ」
まぁ俺は、ミラストーンを飲む前に見ているから、形は分かるけど、結衣は、赤ちゃんのときに飲んだから分からないよな。
「ちなみに私のミラストーンはここだ」
功見さんは、笑顔で歯を見せた。
「え!? 歯!?」
「ギーラとの戦いで歯が抜けちゃってね、歯の変わりにしたのさ」
まじかよ……。
ここまでなるのか研究者って。
お父さんも引きこもってはいたけど、変わった人が多いのか?
「ミラストーンを飲んでしまった人がいるんだから、体の一部にしたって問題はないだろう? 実験さ!」
「アミナスで、ミラストーンが体の一部の人って、どれくらいいるのかしら?」
「そうだね、爪や眼球、皮膚に埋め込まれて産まれてくる子もいるから、いろんなタイプがあるだろうね」
「そう、そんなに珍しい事でもないのね」
そっか、稀星も気にしてたんだな。
「次はどの町に行くか決めてるのかい?」
「いいえ! どこかおすすめはありますか?」
「それなら電気の町はどうだい? 雷も電気だしね」
「そうね、能力アップに繋がる事があるかもしれない」
「よし、じゃあ電気の町に行こう!」
「早くした方がいいよ、列車は1日2回、もうすぐ出発だ」
「え! 急がないと! あ! この瓶の中身、調べてもらう事ってできますか?」
「何が入ってるんだい?」
「傷が治る温泉です」
「そりゃあ、最高の研究材料だ! 分かった。調べさせていただこう」
「お願いします!」
「じゃあ、気をつけて!」
「お兄ちゃん、またね!」
「はい! 仁も元気でな!」
俺達は急いで列車へ向かった。
「まもなく出発しまーす! 最終列車でーす!」
「乗りまーす! 乗りまーす!!」
なんとか間に合った。
「では、出発しまーす!」
功見さん、また会えるといいな。
「はい、たまごサンド」
「ありがとう稀星」
「私にも何かちょうだーい」
「しょうがないわね。はい、おにぎり」
「おにぎり久しぶりだー!」
「響にはチョコクロワッサン」
「ありがとう」
「私達はブリトーを食べましょう」
「おいしそう」
「あぁー! おにぎりにいくら入ってる! いくら買ってくれたの!? ありがとう!」
「どういたしまして」
稀星、みんなの好きな料理を用意してたんだな。
恥ずかしそうにしてるけど、嬉しそうだ。
やっぱり料理人なんだな。
お腹がいっぱいになり、みんな眠くなってきた。
「少し仮眠しようか」
俺達は電気の町まで休む事にした。
――――
「麻陽! 起きて!」
「んー?」
「着いたよ! 電気の町!」
俺はゆっくりと目を開け、周りを見た。
もう夜なのに、町は明るく、イルミネーションがたくさんあった。
「これが電気の町……!」
「しっかりしなさい! なにが『少し仮眠しようか』よ! あなたが一番寝てるじゃない!」
「……すみません」
俺達は列車を降り、町へ向かった。
電気の町、サンドループ。
すげぇ光ってる。
町って言うより遊園地?
お祭り?
なんて言っていいか分からないけどそんな感じ。
「ちょっと思ってたのと違うわね」
「うん」
「でも楽しそうだよ!」
「よし、行くか! まずは宿だな!」
俺達は新しい町で、宿屋を探す事にした。
――――
今回はわりとすぐ、宿を確保する事ができた。
男と女、別々で二部屋。
だけど……。
ベッドの周りも、こんなにピカピカ光ってたら寝れねぇだろ!
「すごいね麻陽」
「仕方ない……出かけるか」
ドアを開けると、結衣達のドアも開いた。
「もしかして?」
「もしかしてあなた達も?」
「まぁ、仮眠もしたし、探索でもするか」
結局、俺達は外へ出ることにした。
次回。
新たなギーラに苦戦する俺達。
息していない……心臓が止まっている。




