15.髪飾り
前回のお話。
みんなを探しに出発した俺と寧々(ねね)。
しかし、知星だけが見つからなかった。
「私ってなんなんだろう。結局、迷惑かけてばっかり」
寧々は寂しそうに話始めた。
「昔、友達とおそろいのキーホルダーが壊れちゃって、髪飾りにした事があったの。
周りの女子からは人気だったんだけど、友達からは『なんで勝手に髪飾りにしたの』って言われちゃって。
そのあと、その友達が好きな男子からも、髪飾りの事言われて。
そこから私、無視されるようになったの。
陰口も聞いた。周りの友達も私から離れて行った。
だから私は町から離れたところで暮らす事にしたの。
もう傷つきたくないから」
俺も能無しと言われたときは、これからどうすればいいのか分からなかった。
人間は常に孤独なのかもしれない。
その恐怖心から群れを好むのだろうか。
俺もどちらかと言えば、群れが苦手なほうだ。
選択肢を間違えれば、すぐ弾かれる。
そうしたらまた孤独が押し寄せてくる。
俺には花音先生と結衣がいた。
だから頑張ってこれた。
「そんなのあなた悪くないじゃない」
稀星は普通に話始めた。
「あなたはキーホルダーを大事にしていた。髪飾りにするほどね。だけど、周りから人気となっているあなたが気に入らなかった。あなたと友達の大事なキーホルダー、私達だけのだったのにって感じ? 女の友情なんて、嫉妬、束縛、マウント……ぺらっぺらで薄かったりするんだから。そう……湯葉みたいに!」
「……は?」
「湯葉って、慎重にすくわなきゃいけないの。でも疲労軽減、睡眠の質の向上! おいしいんだよねぇ」
「なんの話?」
寧々が言った。
「あ、話がずれたわね。あなた達は話し合うと言う選択肢をしなかった。ただ、それだけ。でもあの子は違う。あの子は一生懸命探してる。後悔してる暇なんてないわよ」
「………………ねぇ少年、髪飾りの場所分かる?」
「俺ならできるよ。俺の事逃がしてくれたらね」
少年は、にこにこしながら条件をつきつけてきた。
俺を含め周りのみんなは、逃がすと言う選択肢で決まった雰囲気だ。
「みんなごめんなさい」
寧々は言った。
そして、颯の方を向いた。
「お願いします、髪飾りを探して下さい」
寧々は深々と頭を下げた。
「いいよ! 鳥達に聞いてみるね!」
少年は鳥、虫など生き物に何か語りかけていた。
「…………あった! つむじ風!」
つむじ風にのって、知星と髪飾りが俺達の所に来た。
「寧々、髪飾りごめんね」
「ううん! 知星ありがとう!」
二人とも、泣きながら抱き合っていた。
いい友達に出会えてよかったな。
「約束だよ! 俺は帰るからね!」
「しゃーないな! 名前は何て言うんだ?」
「俺の名前は颯! じゃあね! また遊ぼう!」
「いや、もう遊ばねぇよ!」
颯は、風にのって遠くへ行ってしまった。
変わったやつだな。
でもギーラなのは変わらない。
いつかは戦うときがくる。
俺ももっと強くならなきゃいけない。
――――
「寧々、本当に一緒に行かないのか?」
「うん、私はこの町で調べたい事があるから」
知星は、寧々と離れるのが嫌で泣いていた。
「ごめんね、私知りたいんだ。なんでこの町には、強いギーラが来ないのか」
「知星ちゃん、大丈夫だよ。」
結衣は、しゃがんで知星に言った。
「おそろいの髪飾りがあるじゃない? またいつか会えるよ!」
知星は自分の髪飾りをさわり、寧々の方を向いた。
「……また……会える?」
「会えるよ!」
「約束!」
寧々と知星は指切りをした。
「またね! 知星!」
「うん!」
「あ、寧々! 温泉、少し分けてくれないかな?」
「いいけど、何するの?」
「もし、お父さんに会ったら調べてもらおうかと思って」
「了解! 何か分かったら、私にも教えて!」
「OK!」
俺は、温泉の入った瓶を三本もらった。
俺達はまた旅に出る。
今回みたいにいい出会いがあればいいな。
「次はどこに行こうか」
俺は地図を広げた。
ここからはいろんな町に行ける。
医療の町、電気の町、お菓子の町……。
一番近いのは医療の町……。
「医療の町に行ってみようか」
「おぉー!」
みんな、やる気満々で出発した。
遠くを見ると、列車が走っているのが見えた。
あれで移動できるかな?
「あれに乗れるか聞いてみよう!」
俺達は急いで向かった。
列車には、白髪混じりのおじさんがいた。
顎髭が生えていて、シャツに短パン。
見た目はイケオジってやつか。
「すみません、この列車乗れますか?」
「乗ってくかい? どこまで行く?」
「医療の町、ドクタータウンまで!」
「了解!」
「お願いします!」
俺達は無事、列車に乗ることができた。
他の町にも繋がってるみたいだから、ここからは列車でなんとかなりそうだ。
風が気持ちいい。
「響、いつもと違うチョコ食べてるね」
結衣は不思議そうに言った。
結衣は、みんなの事をよく見てるし、気配りが上手だ。
俺に対しては、ひどい扱いな気はするが。
「よく見てるね。これは、宝石の町カタリナで買ったんだ」
「あなたいつの間に買ったのよ」
「ふふふっ、みんなにもあげる」
響はみんなにチョコを配った。
「おいしい」
「これおいしい!」
「本当だ!! 甘すぎずちょうどいい! 響ありがとう!」
「どういたしまして」
響は、いろんな町でチョコを買っているらしい。
まぁ、俺もいろんな町で、うどんとたまごサンド食べてるしな。
今まで、お母さんの料理の味しか知らなかったから新鮮だ。
「知星と稀星は、何が好きなんだ?」
「私達は牛乳が好きなの」
「チーズも」
「大きくなるといいな」
「あなたねぇ! 元に戻ったら背だって伸びてるんだからね!」
「きい怒りすぎ」
「わ、私も牛乳飲もうかなー!」
「いいんじゃない? 痛風の発症率を下げるから」
「そうなの!? 飲まなきゃ!」
何の話してんだよ女子……。
「さぁ、そろそろ町に着くよ!」
今度はどんな町だろう。
楽しみだ。
次回。
新しい町で別行動をする俺達!
そこで、研究員と名乗る男性が現れる!




