14.バラバラ
前回のお話。
新しい町で出会った少女、寧々(ねね)。
寧々(ねね)の家に宿泊した俺達は、温泉に入る。
寧々(ねね)と別れた後、自身をギーラと名乗る少年と出会う。
えっ? ギーラ?
この無邪気な少年が?
「じゃあ、いっくよー! 強風!」
さっきから吹いてる風は、この子の能力だったのか!
きっと俺の炎は飛ばされる。
周りが火事になるかもしれない。
みんなも同じ事を考えているのか、なかなか技を出せない。
「つまんないなー。じゃあ、つむじ風!」
……っ!! 飛ばされる!!
「近くにいる人に捕まれ!」
「髪飾り!」
知星の髪飾りが、風で飛んで行った。
「知星!!」
「ちい!」
知星は、髪飾りを追って飛ばされていなくなってしまった。
知星を追って、稀星も飛ばされる。
「響!」
「結衣!」
手をつないで耐えていた二人も、吹き飛ばされてしまった。
「つまんない、また遊んでねー!」
その言葉を聞きながら、俺も飛ばされてしまった。
――――
「いてぇっっ!!」
俺は地面に落ちた。
ここは……宝石の町、カタリナ!
こんなとこまで飛ばされたのか。
身体中が痛い。
いつも結衣に治してもらっていたから、気にならなかった。
こんなに痛かったんだ。
「麻陽?」
「寧々!」
「どうしたの!? 傷だらけ! 血も出てる! 早くうちに来て!」
俺は寧々の家に行き、また温泉に入った。
温泉をあがり家に戻ると、寧々がコーヒーを用意して待っていた。
「この温泉、傷を治す効力があるんだな。前回は傷とかなかったから分からなかった」
「話を聞かせて、みんなは?」
俺は寧々に、ギーラの事、みんながバラバラになった事を伝えた。
「私もみんなを探す」
「危ないからダメだ!」
「でも、私と買った髪飾りを、知星は追いかけたんでしょ!? じっとなんてしてられないよ!」
まぁ……そうだよな。
言った俺が悪いのもある。
「この温泉を少し持って行きましょう! きっと役に立つわ!」
俺達は掌サイズの瓶に温泉を入れ、何個か持つ事にした。
絶対に見つける。
「行くぞ!」
「了解!」
俺達はまず町中を探す事にした。
だが、見つからなかった。
町の人に聞くと、西の方で大きな音が聞こえたと言う情報を手にした。
俺達は西を目指した。
林の中を走っていたとき、また風が強くなってきた。
もしかして……。
上を向くと、あの少年がいた。
「見つかっちゃった!」
ケラケラと少年は笑っていた。
「かまいたち!」
上から風の刃が飛んでくる。
「寧々! 危ない!」
「大丈夫、私強いから。防御!」
寧々がそう唱えると、六角形の氷の結晶のようなものが出てきた。
そして、ギーラの攻撃を弾き返した。
「寧々って……」
「言ってなかったっけ? 私アミナスなの!」
左腕のブレスレットが光っている。
「お姉ちゃん楽しそう! 一緒に遊ぼ!」
「……私でよければ、たくさん遊んであげる」
「強風!」
強風がまた俺達を襲ってくる。
「こんなただの風、子供だましにもほどがある。氷点下」
周りの空気が変わった。
体感温度がどんどん下がっていく。
でもこれって俺達も寒くてやばい。
少年もくしゃみをしている。
「あなたの周りは風が吹いてない。それなら遠距離攻撃にすればいいだけ」
本当だ。
少年の周りは風がふいていない。
でも風が邪魔をして攻撃なんてできない。
「どうやって俺を倒すのさ!」
少年は笑って言った。
「海霧」
霧が出てきた……。
「空気中の水蒸気を限界までここに集める」
「こんな霧! つむじ風!」
「寧々! 危ない!」
寧々に、つむじ風が襲いかかる。
「氷刃」
寧々の手に、氷の刀が現れた。
「こんなつむじ風! 私の氷刃に切れない物はない!」
寧々はそう言うと、本当につむじ風を一刀両断してしまった。
そして、少年に切りかかった。
少年の左肩からは血が飛び散った。
寧々はもう一度攻撃をしようとしていた。
しかし、少年もそこまでバカじゃない。
「防御」
少年がそう唱えると、少年の周りには風の壁ができていた。
「まだまだ子供だね! 上ががら空き! 氷柱!」
少年の頭上に、大きな氷のドリルが落ちてくる。
「うわっ!!」
少年は、風の壁を解除し避けた。
が、避けたその先には寧々がいた。
「私の勝ち」
少年の喉には、寧々の氷刃が待ち構えていた。
「……俺の負けか……」
少年は両手を上げ降参した。
寧々ってあんなに強かったのか。
「さて、どうする麻陽?」
「ギーラは生かしておけない」
「そんな! 俺はただ遊んでほしかっただけなんだ! 誰も傷つけてないだろ!?」
少年は、涙目になりながら、俺達に訴えてきた。
いや、でも俺はぶっ飛んで地面に叩きつけられて、傷だらけだったけどな。
「こんなか弱い少年を、殺そうって言うのか!?」
うーん……。
いつものギーラと違って調子くるうな。
「あなたよくしゃべるわね」
「俺は強いからね。弱いやつは言語能力も弱いから、しゃべっても少しだったり、ぎこちなかったりするんだよ」
そうなのか。
ギーラは強さのレベルで知能面も変わってくるのか。
「あんた達の仲間を吹き飛ばして悪かったよ! こんだけ暴れてたら、みんなここに来てくれるって!」
たしかに。
みんなここに集合するだろうな。
「俺が悪かった! ごめんなさい!」
「どうする?」
これだけ話せるなら、何か情報を得られるかもしれない。
でもギーラはギーラだ。
俺達がしばらく考えていると、遠くから声が聞こえた。
「麻陽ー!」
「結衣! 響も!」
「麻陽!」
「稀星!」
知星の姿が見当たらない。
「知星はどうしたんだ?」
「あの子、髪飾りを探すから先に行っててって」
「そんな……。あんなただの髪飾り諦めたらいいのに!」
寧々は自分のせいだと思っているのか、泣きそうな顔をしていた。
次回。
少年は、髪飾りを見つけるかわりに、交換条件を提案する!




