12.罵声
前回のお話。
響は能力者だった!
俺は、モスキート音が分からなかった為、おっさんと呼ばれる。
響のおかげで敵を倒す事ができたが……?
「結衣! どうした!?」
「麻陽……」
町民の人達が、結衣を睨みつけている。
「早く出ていっておくれ!」
杖をついたおばぁさんは叫んだ。
「あんた達、アミナスだったんだね。あんたらのせいでギーラが町を襲ったんだ。あんたらさえ来なければ!」
「消えろ!」
「帰れ!」
俺達は、周りから非難を浴びた。
「アミナスなんて言葉ばからしい。石を持って産まれてくるなんて、忌み子に違いない!」
「そうだー!」
「さっさといなくなれ!!」
「おまえ達なんて必要ない!」
アミナスがこんなに嫌われていたなんて。
確かにミラストーンはギーラを呼び寄せる。
俺達がこの町に来たからギーラが来た。
その事実は変わらない。
町民の中には、最初に串を販売していたおばちゃんもいた。
あのときの面影はもうない。
「あんたまだこの町にいたのか! 響!」
俺の後ろには響がいた。
「おまえの顔なんて見たくもない!」
「早く出ていってくれ!」
「……!」
瓦礫や石などが飛んでくる。
そうか……。
響はずっとこんな目にあっていたんだ。
あの丘にいたのも、もしかしたらあの場所しかなくて……。
「消えろ!!」
「いなくなれ!!」
俺は響の手をとり走った。
早くここからいなくなった方がいい。
気がつくと、俺はあの丘まで走っていた。
「ごめん、響。あ、これチョコ」
俺は、チョコを握りしめて走っていた事に気がついた。
「とけてる」
「わっ! ごめん! 夢中で!」
「ちょっと麻陽! 急に走らないでよ!」
「まぁ私でも同じ行動したと思う」
「同じく」
「みんなごめん!」
「怪我人を残して来たのがちょっと気がかりかな」
「結衣は優しいわね。あんな人達どうでもいいわ」
「いい女」
「知星言い方! でも、そこが結衣のいいところだよ。よっ! いい女!」
「もう! やめてよっ!」
「セクハラね」
「おじさん」
「いや待て待て待て。最初に、いい女って言ったのは知星だろ。しかもおじさんって。パパよりだめだって!」
「ふふっ」
響は俺達を見て笑っていた。
それを見て俺は安心した。
多分、みんなも安心したと思う。
「響、ヘッドホンに血がついてる。大丈夫か?」
「うん、僕の血じゃない。ギーラの」
「これで拭いて!」
結衣はハンカチを出して渡した。
「ありがとう」
「どういたしまして! そのヘッドホンって……」
「あぁ、これね。僕、人より聴覚がいいんだ。聞きたくない事も聞こえちゃって」
「ずっとつけてきたの?」
「五歳のときからかな」
そう言うと、響は自分の過去の事を話してくれた。
「友達とかくれんぼをしていたんだけど、みんながどこにいるか分かるんだ、声が聞こえるから。
初めはみんな誉めてくれた。
でも、友達が内緒で話している内容も聞こえて、その事を言うと気味悪がられたんだ。
だんだんみんな離れて行った。
そのうち、僕の悪口も聞こえるようになった。
成長するにつれて、どんどん聞こえるようになったんだ。
だからヘッドホンをつけて過ごす事にした。
周りの音を全て遮断した。
とても楽になったけど、一日が長く感じたよ。
自分がアミナスだと分かったのは、茉白さんって方が、僕に声をかけてくれたから分かったんだ」
副理事長が……。
そんな仕事もしているのか。
「よかったら俺達と一緒に行かないか?」
「私達もうるさいから、もし嫌じゃなければ!」
「知星うるさくない」
「私もうるさくないわ」
「えぇっ?」
知星はあからさまな顔をした。
「はぁ? 私より結衣の方がうるさいでしょ。お腹の音とか」
「ぅえっ!? 私そんな食いしん坊じゃないよ! 私より麻陽の方が食いしん坊だよ!」
「なんで俺だよ」
「ふふっ」
また響が笑った。
「僕でよければ」
「よっし!!」
「仲間が増えた~!」
「今日はお祝いね! 何でも作るわ!」
「ケーキ」
「まかせなさい!」
「僕、誰かに必要とされる日がくるなんて思わなかった。誰かとしゃべったのも久しぶりだ」
「これからたくさん必要とされるよ」
「今日は疲れたな」
響の顔は笑顔だった。
「俺も疲れた」
俺達は一緒に丘で横になった。
「これからよろしく、響」
「よろしく、麻陽」
次回。
初めての温泉!
これで俺もつやつや!




