第十一話 私は。
「うーん、コレにしようかな。いや、コッチにするべき?」
少し赤みがかった髪をする少女は、服屋に立ち寄ってマフラーを見たり、ニット帽を見たりと冬服に執着している。
しかしなぜ、彼女が彼に渡すのだろうか。
そんな愚問にも近い疑問を持った自分に、私は酷く嫌悪感を覚えた。
わかりきっている。
クリスマスにプレゼントを贈る間柄なんて、そんなもの決まっている。
けれど、私の口は嘘をつく。
「なんで、大神君なの?」
「うーん、なんでだろ?助けてくれたから?」
確かに彼女は彼に助けてもらった。それが荒治療だったとしても助けられた事に違いはない。
私の中で弁明やら、否定的な声ばかりが増えて行く。
違う。私の求めた声とは違う。そうじゃない。
「どうしたの?疲れてる?」
「……ごめんなさい。少し疲れてるみたい」
「そっかー。じゃあちょっと休憩しよっか。あそこのカフェでいい?」
「えぇ」
心配そうな顔で覗き込む彼女に、私は不思議な気持ちを感じた。
言葉では言い表せない、そんな気持ち。
不思議と胸が痛くなり、熱を帯び、苦しくなり、破れそうになる。
怒りなのか悲しみなのかさえわからない。
ただすごく苦しい。
「あれ?ライライ?」
瞬間、私の心が軽くなった。否、そう錯覚した。
「お、おう……」
「何してんの?ここコンビニじゃなくてデパートだよ?」
「俺だって偶にはこう言う場所にも来るからな?」
「え?そうなの?」
「おい……。そう言うお前らは何してんだよ」
「クリスマスプレゼント!」
「リア充爆ぜろ」
即答。最早早押しクイズレベルの即答である。
一瞬の神業に私も坂口さんも息を飲む。一体そのリア充さんは彼に何をしたのだろうか。
「あ!そうだ。ライライも一緒にカフェ行く?今から行くんだけど」
「え、いや、遠り━━━━━」
「一緒に行くって!やったねあかりん」
「うん」
先ほどの即答に負けず、彼女もまた速攻で彼の意見を無かったことにした。
これにはあの大神君も渋い顔をしている。
「はいはい、わかったよ。行きゃいいんだろ」
「よしよし」
「ったく。ちょっと冬服見に来ただけなのに……」
彼は悲しそうな声でそう漏らす。昔の彼ならキッパリと断っていただろうが、今の彼は少し他人との関係を改善━━━━━━
「あ」
あぁ、やっと理解した。
あの言葉にできない複雑な気持ちを。
私は大神雷を『同種』と見ていた。
人間関係を築く事に不向き、他人と言うものへの考え方、自分も自分以外をも嫌っている事。
それらが全て私に似ていた。いや、同じだと見えた。
だから私は坂口恵美によって、その彼の考え方や好き嫌いが変わってしまうのでは、と恐れた。
あの時覚えた心は怒りでもなければ、悲しみでもない。アレは『恐怖』なのである。
「大丈夫か、お前?」
「ごめんなさい……ちょっと帰るわ」
「お、おう。気をつけろよ」
彼は不安そうな顔でコチラを見るが、今はそれすらも私の恐怖を増大させる。
私は━━━━━━




